2013年4月23日火曜日

2013.04.21 Amature Big Band Live Rec 41RP STAFF REPORT


2013.04.21 Amature Big Band Live Rec 41RP STAFF REPORT


栃木県日光市今市にある珈茶話(かしわ)というお店で行なわれたBigBandのレコーディング。
お客さんはいないものの、基本的には一発録り・リテイク無しのレコーディングであった。
この春専門学校に入学して来た1年生の方4名と富さん、6人での作業。

◯仕込み・システム
基本的にスタジオ側にはマイク・スタンド・マルチのみ。
TB・プレイバック用にお店既設のPAシステムを使わせて頂いた。
プレイバックは今回行なわれなかったのだが、DM1000よりマルチボックス/ケーブルを経由し、スタジオ側にある既設回線へ繋ぎ、ベリンガーの卓を通ってからTBが返された。
スタジオ側にもMCマイクを用意し、バンドチーフである小倉さんとの会話はそれを用いて行なっていた
レコーディング用マイクでやり取りができる事もあるが、楽器用のマイキングであるため今回の様な会話用マイクがあると連絡がとりやすい。



コントロールルーム側はヘッドフォンミックスで行なわれた。
マルチからヘッドアンプを経由し、DM1000→2mixをR-44へ。
ヘッドアンプ→HD24①→HD24②→O1V→2mixをR-44へ。
という2つの2mixをR-44のステレオ×2へ録音した。

この時大切なのが卓→R-44のキャリブレーションをとることである。
2台ともデジタルコンソールである為、信号を簡単に出す事ができた。
必ずLRそれぞれ行なう。

信号を流した時にアクシデントとしてR-44の2chINPUTに妙なノイズがのってしまった。
結果的にこれはファンタム48Vがかかっていた事が原因であったのだが、INPUTに何かさすとき、確認をしてから行なうべきだと反省した。リボンマイクのように48Vかかることによって壊れてしまう機材もある。
また機材を片付ける際にはフィルターやファンタムを必ず落としてから片付けるよう心がける。卓のHAのPADを入れておく事も同様である。

お店の営業中に仕込みを開始した為、まずはコントロールルーム側からのセッティングとなった。
デジタルの機器を用いる際はサンプリング周波数を正しく同期させる為にWordClockをつなげる。親を決め、いくつ子ができるのかという理解が必要である。
今回はHAがマスターとなり、その他DM1000・HD24それぞれがスレーブとなった。
コンソールとR-44の接続はアナログで行なわれた。

回線のチェックとして、マルチボックスに1回線ずつマイクをさしてHAをおおよそで決める事・HD24に正しく信号が伝わっているか・コンソールに正しく信号が伝わっているかの確認を行なった。
ファンタムを使うものにはコンデンサマイクを用いた。理由はダイナミックマイクでは正しくファンタムが送られているか確認できないからである。
実際にダイナミックマイクでは1番グランド線が切れていても信号が伝わってしまう可能性があるからである。
今回マルチケーブルを使用しているため、全ch共通グランド線であるという配慮も必要であった。

◯本番・感想
スタジオ側のセッティングが終了し、奏者の皆さんの準備ができたところで本番がすぐに始まってしまった。
今回DM1000でmixをさせて頂き自分の2mixがR-44へ収録されてしまうという事から常に鳥肌が立つ程緊張していたのだが、どんっと音が出たときから一気に焦ってしまった。
音をとるときにはメーターに気がとられてしまい富さんのmixに比べレベルがとれていないことから、上げなきゃ上げなきゃと思いバランスやミキシングに集中できなくなった。

今年の3月に行なわれた音響家協会主催のJAZZ音響塾に参加させて頂いたのだが、そこで学んだ事をどう生かすか自分なりに考えて来ていたのにも関わらず、実際やってみると今の私の力ではどうにもできない悔しさが胸に突き刺さった。

まずはリズムセクションの土台をつくること。今回Pf/Gtが無かった為リズムセクションはBass/Dr/Perとなる。
Bass・DrのKickはその芯となる部分であるのに、いつまで経ってもポジションが決まらずぐたっとしたmixになってしまった。明確な理想像が見えていないとこうも迷ってしまうのだと実感した
その上にSnやH.H・Congaのリズムが乗るのだが、DrとPerのTopのマイクには管のセクションやベースアンプの音が凄くかぶっていた。
それをどう利用するか、どう排除するか、考え方は様々であるが上手く利用する事を目指した。
かぶりというのは他のINPUTから見ればOFFのマイクであるということ。空間でとらえた音という考え方もできるのかな、と。
上手く使う事はできなかったと感じているのだが、1つのフェーダーだけがその楽器を捉えているのではないという発見になった。
PerのR側にはタンバリンとウィンドチャイムがセッティングされていた。富さんに指摘されたことであるがmixをする上で単純にPANを振り切るという曖昧な考え方はやめようと思う。私も吊りもの楽器が方chに寄り切っているのはおかしいと思った

JAZZ音響塾の講義内容にBigBandサウンドとはSaxセクションに重きを置くものであるという言葉があった。
SaxセクションはBigBandで言わば花形である。セクション単独で3声に分かれハーモニーを奏でられる。
頭で想像した画にはBigBandのスタンダードな配置の全面にSaxセクションが並んだ。
ただそのセクションの中にもアルト・テナー・バリトンという3声のバランスがあり、そこに集中できなかった事も反省です。
レベルがとれない時にどの部分で増幅するか、HA・EQのATT・フェーダーなどあるがHAは全て共通であること、フェーダーの規定以上のヘッドルームは+10dBしかないこと、EQのATTはEQグループを組んでいても共通にならないことなど考える要素は複数ある。
TP・TBセクションはダイナミクスの振り幅が大きく、ハッとして下げたり上げたり安定させる事ができなかった。上手くCompなどのダイナミクス系エフェクタを使うことや明確なポジションを決めること・PANNINGなどの工夫ができれば良かった。

今回様々な楽器がソロを担当していたのだが、追っかけるところ・奏者自身がマイクに向かうこと、またその他の楽器が奏法を変えることなどもう少し敏感に対応できれば良かったと思う。
目の前で見て・生音をきいてmixするのとは違った難しさがあった。

正直どんどん進んで行く演奏に追いつけず、終止焦ってどんどん卓をいじって冷静に音をきけていなかった。
卓を離れ生音をききにいったとき・富さんのmixをきかせて頂いたときに自分ができていないこと・無駄にしていることが沢山あると痛感した。
音楽ミキシングとはなんたるか、BigBand独自のサウンドとは、という耳をつくることと、
機材の操作方法、エフェクターの使いこなすこと、単純な技術と知識の学習の必要性を実感した。
BigBandのmixをさせて頂けること・自分のmixを聞いて意見を頂けること、どちらも本来あり得ない事である。
このような機会を頂けた事に対し、自分は何ができたのか・何を学んだのか、2日経ちレポートを書いている今でも考えます。
貴重な機会を頂き、本当にありがとうございました。
1年生の方々を見ていて、1年前初めて現場に参加させて頂き泣きながら一人帰路についた事を思い出しました。
自分の勉強に向ける姿勢について改めて考え直してみようと思う。

M-AQUA 富 追記
2013年3月に行われた、神戸での音響家協会主催『JAZZ音響塾』
参加した本人からの了承を得ましたので、レポートをこちらにリンクさせていただきます。
及川先生及び、関係者の皆様、ありがとうございました。

2 件のコメント:

suko さんのコメント...

R-44のファンタム入れっぱなしの原因は僕ですね...失礼しました!

M-AQUA Live-Sound さんのコメント...

すこぶと!おもしろい。
そうそう、ごたんだのマイクなんだった?
音源出来たら聞かせてください。
tomi