2012.09.10 Yama No Uta Project Recording 41RP STAFF REPORT
20120910山の歌レコーディング
いい音を生かす。ん?と思う音ばかりに気をとられすぎずに、そのミュージシャンのはなつ、いい音を伸ばす。人に響くというか、人に訴えかける音楽、音は、エンジニアがそういう自然な熱い心持ちでいることで、初めてそのミュージシャンの本来のパワフルな音を記録することができるのではと感じた。
初めてスタジオでのレコーディングの現場に入らせていただいたが、ミュージシャンはもちろんのこと、レコーディングエンジニアも共に、力を注ぎ込み、長い時間を共有する。その間エンジニアはつねに、いろんなところに目が届かせながら大量に飛び交う情報を敏感につかまえて、行動しなければいけない。ミュージシャンの直接の要望もそうだが、ミュージシャンの様子、独り言、ミュージシャン同士の会話のなかにも情報が詰まっている。
今回は、Isolationがないスタジオで、また曲目によって登場する楽器が異なり、合わさる楽器の組み合わせがたくさんあった。その中でも、先を読んで行動しなければいけないと強く思った。
ピアノソロの曲のレコーディングのあとに、ピアノ、バイオリン、ハープ、フルート、トロンボーン、チェロの合奏の曲があった。その直前に「今日の楽器のなかでいちばん音の小さい楽器は?」と富さんに聞かれた。最初その質問の意図が全くわからなかった。富さんの意図していたことは、あとに控えたこの合奏の楽器の配置位置だった。
Isolationがないために、マイクは楽器にそれぞれの楽器へマイキングしていても周りの楽器の音が確実に入る。かつ、全体の音を集音するステレオのメインマイクの位置関係も考慮する必要があるからだ。楽器の生の音の理解がいかに大事かわかった。
レコーディングの現場は、常に緊迫した空気感のなかでおこなわれるというイメージがあったが、そうではなくいかにミュージシャンと言葉でのコミュニケーションを積極的にとるか、いかにミュージシャンの挙動をよみとるか、そしてミュージシャンを不安にさせずにいいパフォーマンスをしてもらえる環境をいかに整えられるか、提案をいいタイミングで投げかけられるか。思いと思いが強く結ばれながらいい音楽がレコーディングされていく、繊細だけども人間の体温を感じる仕事だとすごく思った。
今回も、このような貴重な現場の経験をさせていただき、本当にありがとうございました。
富 解説
今回のスタジオは、小さなサロンコンサートのできるような小ホールでした。
20人も入ればいっぱいのところでしたが、後ほどこちらもブログアップします。
Isolation=音の分離を意味しています。
それぞれの楽器が、ガラス張りの別々の部屋に入って録音することが、一般的なスタジオと思われますが、エムアクアの出張Styleの録音、Classic Styleの録音では、こんなこともあります。
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