2015年6月29日月曜日

2015.04.23 Monma Rui New CD Mixing Finished

2015.04.23 Monma Rui New CD Mixing Finished

半年がかりのプロジェクト、M-AQUA今年前半の前半の大きな録音ミックスまで終りました。



6月中頃にプレスも完了し、ご本人のブログにも、大きな発表がありました。

門馬瑠依さんの、Hall Direct 同時感を大切にした、録音プロジェクト。

12月の下見の様子
2月の
ホールリハーサルの様子
3月の本録音の様子

今回の記事では、録音終了後から、Rough Mixを送るまでをまとめてみようと思います


1:録音を適宜にFixedすること。
2:そもそも、Rough Mixってなに?
3:Dynamicsとかぶりの関係。
4:Time Alignment Delayで出来ること。
5:Revは覆うもの?隠すもの?よりよく聴かせる為のもの?
6:Panpotの、真ん中と振り切り、左と右


0:演奏家の皆さんももちろん私も、日々前進を続けています。
実は、今回の同時感を大切にしたような録音は、とても演奏家の方への負担や、技量、求める物が多かったのですが、録音手法の研究、実験、提案、修正に快くお付き合い頂いたこと、まずここに感謝いたします。
エンジニアのやりたいことが優先されるばかり、演奏への負担が大きくなること。しかし、それは、より良い音楽を収めるための手段の一つであることへの相互理解。
M-AQUAとしてフリーでやり初めて、13年快心の一枚になりました、One of Themです。

1:録音を適宜にFixedすること。
収録から、ご本人立会のミックスまで約3週間前時間がありました。
『音の本質は記憶である』
録音直後のミックスから、時間をおうにつれ、様々な音が聞こえて来る。

そして、些細なバランスや音質の変更が、『演奏表現の把握』を遅らせる事になるとわたしは思うのです。

a:混ざり合ったアンサンブルのなかから、聴く人が一つの音に注目する。
b:電気的に一つのマイクの音を取り出して聴く。

様々な聴き方をするのが、音の多様性の良さではあるけれど、立会ミックスまでの、ファイルを送るタイミング、時には大胆に変えてみる。一旦その手を止めて、固定してみることは、この時代のミックス手法にとても重要なことだと感じました。

2:RoughMixってなに?
『商品として完成していない物』
『全ての要素が、満遍なく把握できるbalance』
『時には、提案』
『時には、修正』
最終完成形のためであり、『自信や確認』のためか。
どのような意味がある、Rough Mixなのかを、今回とても考えさせられた。
こういった『目的』がある、Rough Mixなのですよ!
と、そのbalanceから意味が汲み取れるような、Rough Mixをめざしたいものです。
もちろん、そこで一言添えることももちろん大事なのですが、我々日本人が得意な、『言わずに察する』どちらも手にしたいです。

3:Dynamicsとかぶりの関係。
音は空気の粗密波で、空間に放たれて行く。

Dynamicsが大きければ、かぶりも大きくなる。
演奏家が、音量Volumeではなく、Dynamics 強弱やGainなど、どの範囲で演奏をしているのか?
話はそれるが、最近Midiのベロシティ0-127では、音楽の表現力は再現できないのか?などと思う。どのあたりのベロシティを使えば、その音楽の表現ができるのか?
とても、気になる。

話を戻すけれど、『空間』と『Dyanamics』の関係がこの項目のポイントである。
都内のどんなメジャースタジオのセンターブースよりも大きいホールの容積。
(渋谷であれば、CR505 509 CT101)

門馬さんの余りある表現を、のびのびと捉えるのに、とても良いサイズの録音会場出会ったのだなと思う。

そして、門馬さんご本人が、下見か何かでおっしゃっていたのだが、建築年代の古いホールということで、構造物の木々が落ち着いてる。

たしかに、コンクリートの水分もだいぶ抜けているようだし、全体のバンドのダイナミクスが大きくなった時も、自然な包まれ感だった。

かぶりが自然で綺麗であれば、それを利用する。
Jazz録音の師匠がおっしゃっていたとおりになりました。

4:Time Alignment Delayで出来ること。
これは、Live Soundでも、本当に今毎回のセッションで試行錯誤をかさねているところなのです。

例えば、音響技術のプロセッシングの3要素といえば。
a:周波数系(EQなど)
b:ダイナミクス系(Comp Gate)
c:空間系(Rev Delay)
などと教えておりますが、もう一要素として、いれていいのではないかというのが、このTime AlignmentとしてのDelayです。

音楽の音符、一列に同じタイミングで発音していても、そこには演奏家それぞれの、前後がある。
もちろん、楽器の発音由来的に、弦楽器などは、常に立ち上がりが緩やかであるので、早く音を弾き始めている。

たとえば、DrとBass、楽器の役割、そのアレンジでの役割によって、タイミングは違うのだ。

これは、そもそも生活や音楽の、音環境に由来するところもおおいとおもう。
脱線だが、先日あるChoirのサウンドを聞いていて、『このグループは常に、豊かな響きの場所で練習をしているのだな』とか『このグループは適度な壁からの反響を多く聞いて練習しているのだな』などと感じた事がありました。

元に戻ります。

楽器が大きければ、その発音範囲や距離がある。
演奏に見合った楽器同士の距離がある、人間の耳は高性能でそれを補正しつつ、音楽を聴くことができる。

ただ、電気でマイクで収音すると、それができないのだ。
エンジニアの都合で、または対処でOnマイクで近づけた音は、やはり普段聞いている音より、違和感がある。

反面、人間の音の心理としては、『近い音』『大きい音』は、よく感じる傾向にある。
こんな基礎技術こそ、複雑な音楽ミクシングに大切な基礎だとわたしは思う。

『演奏家がどういったタイミングで音を聞き演奏し、どのタイミングでMicを通した音を混ぜ合わせるのか?』

今回のCDで、その手法を多く採用しています。

5:Revは覆うもの?隠すもの?よりよく聴かせる為のもの?
門馬さんの声に見合う、リバーブを探している時、こんな事を考えていた。

響きを人工的に、つける事はどういう意味があるのか?
『覆うもの』
『隠すもの』
『響きを補うもの』
『響きをが継続する事によって成立する和声感』

その時々の意味合いについて、複数の楽器を溶けこませるためにしようする、『Common Rev』、素晴らしい、門馬さんのテイストを、楽器からの被りとどのように調和するのか、薄いベールを隠すのか、工夫をかさねました。

6:Panpotの、真ん中と振り切り、左と右。
昨今の音響、音楽の傾向は、両耳受聴でイヤフォンが基本だと言ってももういいのではないでしょうか?

ここで問題は、やはり、スピーカーで聞いた場合には、左のSPの音は右の耳にも聞こえること。
イヤフォンやヘッドフォンは、左のSPは左の耳にしか聞こえないこと。

少し話が逸れますが、マスタリング現場で、音を真ん中に集めたものほど、大きな影響力、支配力がある。
マスタリングでのMS処理などもその効果を利用したものと思われます。

ミックスの中途でやることがある。
『あえて、左右のヘッドフォンはを逆にして、聞いてみる』

人間の記憶によるものか、それとも、右脳左脳の関係か、今回のテーマである、源氏物語の世界では、どうなっていたのか。

いにしえの音からの融合、通販などでの発売はまたお知らせするとして、気になる方は、どうぞ、門馬瑠依さんのライブ会場でどうぞ!



発売ライブは9/1 渋谷でJZ Blatです。
長話におつきあいいただきまして、ありがとうございました。
まじで、One of Themです。

0 件のコメント: