2010.01.16-17 Niko Recording STAFF REPORT 38SI
2010年1月16日、栃木県宇都宮市にあるプライベートスタジオで行われた、二胡録音の為のピアノ伴奏を録音しました。
録音に必要な体力を維持するために睡眠を多く取ろうと思い、前日は普段より早く20時に就寝しましたが、予定より遅れて出発してしまい、15分遅れて、待ち合わせ時刻の2分前、8時58分に宇都宮駅を到着しました。図面も印刷ができず、恥ずかしい失敗に反省をしました。もっと余裕を持ってスケジュールに接するべきだと感じました。
富さんと宇都宮駅で合流をし、ずっと気になっていた演奏家の方の人柄や、当日の録音の内容を車内で確認しました。長時間同じ空間を共有するミュージシャンがどのような人か知っておくべきだと考えていました。
10時に演奏家の方の自宅でもあるプライベートスタジオに到着し、機材の搬入をしました。
そのときに学んだこと、感じたこと、教わったことをいくつか箇条書きします。
・お客様の家の環境を勝手に変えない。(玄関の鍵は開いていたら閉めずに開けておく)
・機材を汚さない。機材で室内を汚さない。(シートや毛布を床に引く)
・壁に傷をつけない。リュックサックを背負ったまま運ばない。(周囲を見て注意して運ぶ)
・よく指示を聞いてそれは必ず守る。(慌てず、柔軟な姿勢で作業をする)
・導線には物を置かない。(移動の邪魔をしない)
・重たい荷物を無理して1人で運ばない。(かけ声でコミュニケーションをとる)
・2つ以上のネジを取り付ける場合は全てを一度穴の上に置いて、それからネジをまわす。
・先輩が何をしようとしているのかをよく考えて予測をして、そのための準備をする。
(言語を超えたコミュニケーション)
・駐車時は車から降りて後ろを見るべきだったかなと思いました。
確認ができた機材セットは以下の通りでした。
・YAMAHA 01V96 (Digital Mixing Console)
・MACKIE ONYX 800R (Mic Pre-Amp)
・DIGIDESIGN digi 002 Rack (I/O)
・BOSS DI-1(Direct Box)
・SHURE SM58(MIC)
・NEUMANN KM184(MIC)
・FOSTEX PH-100(HEADPHONE AMP)
・YAMAHA (SPEAKER)
・(SPEAKER AMP)
録音中、演奏家の方には常にマスターアウトの音を聞かせるべきなのですが、エンジニアとしては途中に録音している音だけをモニターしたいときがあるので、複数のヘッドフォンはそのためのセッティングになっているとのことでした。結線に関しても富さんに説明して頂いたのですが、混乱してしまいました。せっかく、たくさんの休憩時間が設けられていたので、自分の態度や対応などを気にするよりも、機材の事をもっと質問するべきだと思いました。
録音中にはいくつかトラブルがありました。
→ピアノの高いオクターブのシの鍵盤だけ、異質な、アタック音の強い音色が鳴ることがヘッドフォンで確認ができた。
まず、フェルトや柔らかいティッシュペーパーを挟むことによって改善を試みましたが、他の音色と合わなかったため、諦めました。そこで、そのことが気になってしまって演奏に集中ができない状態が続いたので、一度、ヘッドフォンを外してホールにいる感覚で演奏をしてもらうようお願いをしました。改善ができない問題を一時的に忘れる柔軟性と、忘れてもらうよう誘導する能力も必要なのだな、と思いました。気持ちのテンションが大きく左右される作業であると感じました。人間を相手にしているということを意識しなければいけないと思いました。
その後、KM184マイクをピアノの下から追加でアレンジ、さらにピアノの上からアレンジしているKM184マイクのアレンジを変更することによって異質な音色の改善ができたように思いました。経験が結果に反映された出来事だと感じました。
→時計の針の音が収録されてしまう。
時計の電池を外しました。時間の確認はできなくなりましたが、その後の録音に支障はきたしませんでした。
→ストーブの音が収音されてしまう。
作業の流れを読んで、ストーブの電源を入れたり、ストーブを静かにさせるタイミングを見計らう器量が必要でした。
→ストーブの上蓋が振動をするため、収音はされないが、演奏中に気になってしまう。
最初は振動音の原因が分からなかったのですが、富さんが素早くストーブに目をつけて発見しました。ストーブに距離の近かった僕が素早く行動をするべきタイミングだったと思いました。また、ストーブのコンセントを探して電源を入れ直すことを指示される前にやるべきだったと思いました。
・見学に来ていた、女性の方のナレーションを(手紙風)、演奏家の方のアイデアで録音しようとしたが、女性本人が恥ずかしがってしまった。
まず、スムーズに作業を進めるために富さんがマイクを立てて、椅子を用意しました。これも僕が用意をするチャンスを逃したと感じました。「リハーサル」と言いながら富さんが緊張している女性の台詞を録音をしました。しかし、ゲインがフルテンだったため、もう一度録音するかどうか悩みました。それは、女性がリハーサルのつもりで発した、リラックスした声色が変わってしまうからという理由からでした。その後、僕は、「録音が終わったからストーブを点けて欲しい」という富さんの指示を聞き取れていないのにも関わらず、慌てて理解をしたフリをして自分で勝手に考えてスピーカーの音量を上げました。
女性は自分の声を聞くのを嫌がっていたのにも関わらず、このような行動をして、場の空気を悪くしてしまったと反省しました。
僕は録音時は女性の方を見ないようにしていました。
・ミュージシャンを見ないフリをする。(Mixerも)
状況によって変わってきますが、演奏中に見られると緊張してやりづらい場合もあるので、ミュージシャンがリラックスをして演奏ができるよう配慮をする能力が必要です。
さいごに。
責任感について。
「責任感を持って仕事をする」ということは人として大切な観念です。しかし、誤解しがちなのは、たとえば、極端な例ですが、100kgの荷物は平均的な成人男性が1人で運べるわけがなく、責任感があるということは、重たい荷物を落としてしまい、事故が起きたときにその荷物の代金と怪我が起きた場合の治療費を支払う能力があるというわけではないと思いました。注意深く完璧な仕事をすることも責任を持って仕事をするという意味ですが、責任のとれない約束や行動はせず、無理をせず、他人に迷惑をかけないように判断をすることも責任感を持つという意味だと感じました。これは一見、当たり前の事ですが、「気合い」や「努力」を絶対的な美とし、頭が堅くなっているときには忘れがちなことだと思いました。
特に音響の仕事は、大勢の人間が関わって成立するものだと学んでいます。それを忘れて、無理をして、他人に迷惑をかけるような結果になってしまっては、「気合い」や「努力」は美しいものとは言えません。また、富さんがブログに記していたように、現場での作業を利用して成長をしようとするときは、その場にいる大勢の人たちを成長の踏み台にしていることも忘れないようにしたいです。
丁寧に仕事を教えて頂き、とても感謝します。失礼な面も数多くありましたが、誠意を持って、頭の良い、イメージのできる人間になれるよう頑張ります。
どうもありがとうございました。
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