2009年6月15日月曜日

2009.6.15 経験ときっかけ

2009.6.16 経験ときっかけ

 仕事を始めて7〜8年経った頃、「仕事はだいぶ覚えてきたのに、なかなかチーフになれない」「何度ミクシングしても、納得のいくミックスが出来ない」といった壁にぶつかった。
 その頃よく飲み歩いていました。よく通った、地下の小さなバーのマスターは、即興演奏のギタリストでした。 いつもお客と飲んだくれてどうしようもないその人が、ある日こんな事を言った。
  『富さん、僕にはよくわからないけど、そういうのは経験なんでしょ?』
  『好きな音楽に対して、少しでも多くの経験を積めば、プラスになる事はあっても、
   マイナスになる事は何一つないのでしょう?』 
 これを聞いてはっと目が覚めました、マイナスなんて何一つない。
オーケストラの、マエストロ、名指揮者というものは、年とともに円熟味をまして、一朝一夕
では真似できない表現力と、音楽を作り出すパワーをもっています。ミキサーの仕事によく似た所があると私は思います。
 『経験』というものは、人生においても、仕事においてもとても大事な要素のひとつです。
その時の私は、どうしたら近道してうまくミックスができるようになるか?、何をすれば自分の得になるかということばかりを考えていました。 近道はあったら私も教えてほしいですが、残念ながらありません。 ミキサーや、音に関する技術というものは、大工や職人の世界に比べて、とてもとても歴史が浅いです。 でも、先輩方々や現場の努力によってどんどん新しい手法が生まれているのも、確かな事実です、だから希望をもってほしい、やり尽くされてなんかいない。
 一口に経験といっても、ただ時間を過ごせばいいという物ではないと思う。若いうちはとにかく走り回る、失敗してもいい。 いろいろやってみる、反対の事もやってみる、そしてよく考える。
 とにかくいろいろなパターンを想像し体験する。何度かの失敗は、事前に回避できるようになる。落とし穴に落ちてから這い上がる方法はとてもとても重要だ!。スランプに落ちない人なんていない。 36期生のチェ・ジェファン君に言葉を借ります。
 『経験とは誰にも奪われない、自分だけの武器』 奪われないよ本当に。

 就職してすぐの卒業生から聞く言葉の中で、『思っていたのと違った』この言葉をよく聞く。これはごく普通の反応だと私は思う。 多かれ少なかれ、実際にその仕事に就いてみないと、どのような仕事か?どのような生活か?想像はつかないと思う。 しかし、新しい職業に就く為に、その差を埋める努力をしたか? 現実に目を背けてないか? 環境を受け入れ、その中で自分を磨こう。
大事な事は、入社してから何をするかだ。その会社に入るのは目的ではない。
 どういった基準で、バイトや求人で人を選ぶか? どういった基準で、仕事のパートナーを選ぶか? 『声が大きくて、返事が早い人』『明るくて、気配りと先回りができる人』
 全ては『自己責任』と『自己選択』 自分で決めた事は自分の責任だと思う。!
何かに流されていないか? やる気と情熱、絶望と落胆。

 今でも毎日確認していることがある。それは自分の音響のコンセプトである。
『自分でやる』『必ず続ける』『想いを伝える』ただそれだけ。
若い頃も今も、私はコンプレックスの固まりです。 とにかく人に認めてもらいたかった。 毎日が不安でしょうがなかった、今もふわふわしてるが、本当にこれでいいのかと自問自答し、確認を続けている。
 何か人と人の橋渡しを『自分でやり』『必ず続け』誰かの『想いを伝えて』ほっとさせるような仕事をしたいと思っている。
 自分を変えるのはとても大変だ、そんなに自分は変えられない。そんなに簡単に自分をコロコロ変えたら、そこまでの20年の自分に申し訳がたたない。 でも、進歩や変化が無い人生もあり得ないし、仲の良い人とだけ仕事ができるわけではない。 外(他人)に目を向けよう、内(自分)にも向き合おう。
 ただ、いろいろと書いたけれど、多くの事を求すぎて自分を追い込むのは良く無い。
『自分自身が今どの部分に悩み、どの部分が解らないのか?』を確認する作業が一番重要だ。

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