2006年8月21日月曜日

2006.8.19-20 BRASS BAND LIVE REC&SR REPORT 35RP

2006.8.19-20 BRASS BAND LIVE REC&SR REPORT 35RP

中学校の吹奏楽部定期演奏会の録音のレポート

 今回は吹奏楽部の定期演奏会と言う事で、ホールでの録音でした。キャパシテ
ィーは約1000人です。今回はメインマイクとしてDPA4006を使いました。3点
吊りで約1000mmのステレオバーを使ったAB方式です。指揮者の後頭部の後ろ
と上にそれぞれ2m位の位置にあったと思います。音源に対しての距離、角度とい
うのは人によって違いはありますが、ある程度似ているものだと思います。経験
を積んでいけば、これ位の距離だとこういう音だろうという見当はつくと思いま
す。しかし、覚えるまでは「前にやった時は何となくこんな感じ」というあやふ
やなものになってしまいます。私は先程2m位の位置と書きましたが、それは、マ
イクを吊った日の夜に思い出して書いたものです。その時はそれで良いと思った
のですが、今になってそのメモを見るとちょっと違うのではないかとも思ってし
まいます。やはり記憶というものは曖昧です。メインマイクが目の前にある状態
でメモを取らないとせっかくのメモが生きてきません。デジカメで撮ることも良
いと思います。それと、距離の見当をうまくつけることも大事だと思います。3m
と5mでは音も変わってきてしまうと思います。何度も現場をみて、覚えていくこ
とも一つの手ではありますが、効率が良いものではありませんし、時間がかかり
ます。メジャーや物差しを使って測る時間も取れないと思います。もし測るとす
れば、体を使うことも一つの手だと思います。ちなみに私は、17歩で10mなの
でフロントの楽器からマイクまで何歩とメモをしておけば、あとで計算して距離
がわかります。しかし、距離を測るということは万能ではなく、ホールの広さや
ステージの奥行き、楽器の編成なども関係してその時々に合った音源とマイクの
関係があると思います。3点吊りの位置はステージ上だけではなく、客席の最後
方などに行って立体的に見て場所を決めるそうです。もちろん音も聴きます。そ
れらは経験によるところが大きいのではないでしょうか。
 2本のメインマイクは、平行でステージに真っ直ぐ向かっていました。横から
見ると、マイクの向きは地面と平行で楽器の方向を向いていませんでした。直接
音と反響版からの間接音のバランスをうまく録音するにはそういうマイキングが
良いのではないかと思いました。単一指向性であれば、マイクの中心と中心から
30度位は感度がそれほど変わらないので多少音源からずらしても大丈夫だとも
考えました。私であれば、ついつい音源にマイクを向けたくなってしまいます。
よく考えると、AB方式というのは無指向性のマイクを使ったものですし、音源に
マイクを向けるという行為は、指向性によるマイクの感度を高めるということで
す。つまり、無指向性以外のマイクには有効な行為だと思います。そのため、メ
インマイクは直接に楽器の方を向ける必要がなかったのだと思います。では、な
ぜ直接に楽器の方を向ける必要が無いものなのに、2本のマイクは平行でステー
ジに真っ直ぐ向かい、地面に平行だったのでしょうか。ポーラーパターンを見る
と感度は全方向同じですが、マイクの構造を考えると、正面と横からの音に対し
ては障害物はありませんが、後方からの音に対してはマイク本体が障害物となっ
てしまいます。やはり、録りたい音に対しては、障害物があって欲しくはありま
せん。まず、一番録りたい音は、楽器の直接音です。次に楽器の音がホールの壁
に当たって跳ね返った間接音です。 間接音ですが、客席の最後列の背面の壁より
もマイクの位置の横の壁面や天井面からの音量の方が大きいと思います。以上を
踏まえると必然的に2本のメインマイクは、平行でステージに真っ直ぐ向かいま
す。マイクの向きは地面と平行ということに関しては、客席が上り坂になってい
るのでマイクもそれと平行にした方が良い気がしますが、マイクはワイヤーで吊
ってあり、ある程度の高さがあるので、客席の上り坂と平行にする必要はないと
思います。それでも、吊ったマイクの延長線上には客席があって一番遠い壁では
ないかもしれません。しかし、それでも良いと思います。なぜならば、客席は、
客が入ることによってますますデッドになります。そのため、客席からの間接音
よりも後方の壁面からの間接音の方が大きくなると思います。ちなみに、スタジ
オの人がホールで録音すると近めの音になり、ホールの人がスタジオで録音する
と遠めの音になることもあるそうです。 無指向性のAB方式よりも単一指向性のXY
方式のマイクの方が低音の音量が少ないそうです。音響室で聴いたあの音がAB方
式でした。特に低域が出ているという印象はありませんでしたが、XY方式では低
音がもっと少ないらしいです。指向性の切り替えが付いているマイクのキャラク
ターの違いは、一般的なマイクのように電気的に足し算や引き算をして変えたも
のよりも、C38Bのように物理的に変えたものの方がはっきり出るそうです。
 あるブラスバンドを録音するときに、コントラバス奏者が二人でマイクは無指
向性が1本とします。こうような状態の時、マイクはどこに向けますか。私は、
二つの楽器の間に向けるものだと思っていました。確かにこのような方法もある
と思いますが、どちらかに向けることもあります。例えば、譜面にTp.1などと書
いてあればそちらに向けます。コンサートマスターがいれば、そちらに向けます
。ステージの内側にいる人に向けることもあります。内側にいる人の方が演奏が
巧かったり、偉い人がいる場合もあります。又、三味線などでは、師匠が内側に
いるそうです。
 仕込みの時に何かわからないことがあって、その作業をしている人をただ見て
いるのではなく、何かしら動いた方が良いです。ただ見ているだけでは、自分が
そこにいる意味がありません。頭で考えて、何が必要か、真似してやったり、わ
からなければ、訊いても良いと思います。気づいたこと、アイディア、不安な点
はその場で確認することが大事です。
 リハーサルした後のマイクの位置は重要です。バミることは大事です。一度片
してしまうともとの位置に戻すことは難しいです。演奏者や音源との角度も覚え
ておきます。必要であれば、スタンドの高さ等も目印をつけておくことです。マ
イクをステージに出す時、片す時はさっさとやります。基本的にはバミった所に
マイクを立てますが、突然楽器の位置がかわることもあるのでその時は臨機応変
に対応するしかありません。バミった所にマイクスタンドをおくことばかりに集
中し過ぎていると、肝心の楽器にマイクが向けられておらず、袖に戻った時に後
悔して焦ってしまいます。もし本当にそうなってしまったら、もう一度ステージ
に出て行って直すしかないと思います。それと、マイクスタンドを楽器に向けて
終わりではなく、見た目も非常に大事な要素です。つまりは、ケーブルの引き回
しです。ブームを使っている時は、回転部分のねじのところにケーブルを引っ掛
けて、ケーブルをマイクスタンドの下に綺麗に溜めておきます。マイクスタンド
にぱちっと填めてケーブルを固定するもので止めておくのも良いと思います。そ
れと、バミった時にケーブルをマイクスタンドの下に溜めて、綺麗にケーブルを
マルチボックスや、2対のケーブルに繋げられる長さを袖に戻ってしまったらそ
の長さがわからなくなってしまうのでバミる時にビニールテープか何かで印をつ
けておくと本番に綺麗に素早くケーブルを引くことが出来ます。もし、リハーサ
ルのマイクの位置にバミって置くことを忘れてしまったら、報告です。何かあっ
たら、ホウレンソウです。
 現場での問題は、現場で解決します。スタンドのねじが緩んでいたら、締めま
す。マイクホルダーが余っていたら、元の場所に返します。マルチボックスのキ
ャップが緩んでいたら締めます。壊れたらその場で直します。
 ケーブルの見た目も大事です。ちょっとマイクを片す時もケーブルを綺麗に巻
いておいておきます。現場ではやることが次々とあるので、後でやろうと思って
もすごく忘れてしまいやすいものです。
 音響が早く現場入りする理由は、機材に火を入れておくためです。特に、メイ
ンマイクなどは、早くファンタムをかけておきます。火を入れている時間が長け
れば、それだけ機材が安定してきます。不安定な機材も徐々に安定してきます。
例えば、学校にあったクロストークがひどかったOTARI MX-50も火を入れておくこ
とで症状がだいぶ改善しました。時間丁度よりも早めの方が良いと思いました。
 マリンバは、LRでマイクの角度が違いました。マリンバは、鍵盤の下に共鳴パ
イプが延びています。低音にいくほど長いパイプです。共鳴パイプがアーチ状に
なっているものもありますが、それは見た目上の演出の為にやっていて、実際は
途中で内側が閉まっています。そのためLよりもRのマイクの方が下を向いていま
す。マイクはSM57でした。マリンバの鍵盤の板を音板と言うそうです。アフリカ
で生まれたマリンバ(Marimba)はアフリカのバンツー(Bantu)語で木の棒を表すrimba
に多数を表す接頭語のmaをつけたものです。昔は、共鳴パイプではなくひょうた
んがぶら下がっていたそうです。
 司会とヴォーカルにワイヤレスマイクを使いました。マイクの底に波の送信の
入り切りのスイッチが付いていました。マイクですから、どうしても床に置く時
は何か箱の中に入れます。ワイヤレスマイクなので置いておく時は、盗難防止の
為に明るい所に移動させます。ワイヤレスマイクもそうですが電池が必要なもの
は、必ず本番前に交換してチェックします。
 人の機材に絶対に直に印を付けてはいけません。ビニールテープなどを貼った
り、張った上に字を書いたりします。
 テーブルタップですが、グランド側にGやNのような印がついていることもあり
ます。有色ホットに対して、無色という意味でWhiteのWの場合もあります。日本
の電源は、2Pなのでタップの所でわざわざ3Pに変えても音響に関しては、意味
はないそうです。コールドとグランドが、既に一緒になってしまっているからで
す。
 極性チェックをする時には、体が他の部分に触っているとそこでグランドをし
ていることになってしまうので意味がありません。どこにも触らないようにしま
す。スニーカーなどであれば底がゴムになっているので電気は通しません。ホッ
トタッチをする時も右手でチップを触ってケーブルを持つ左手でスリーブを触っ
ていたりすると意味がありません。
 「携帯電話を持っている方は、電源を切るかマナーモードにしてください。」
などの開演前の注意事項などをアナウンスする人をカゲアナと言います。カゲア
ナのマイクにはボリュームが付いていましたが、先輩が、このマイクをチェック
する時に声で持続音を出しながらボリュームを絞っていました。これをオンオフ
チェックと言うそうです。
 プロセとは、プロセニアムスピーカーのことです。ホールの壁に埋まっている
スピーカーです。
 前日がリハーサルでその時にマイクの位置を決めたら、マイクを外す時は、当
日の為に慎重に外します。前日に私がマイクを外す時にホルダーを動かすなと注
意を受けましたが、2本目のマイクを外す時にも同じ注意を受けました。私は、
それほど動かしているつもりはありませんでしたが、当日の朝に横に4本並んだ
フロントマイクを見ると角度がまちまちになっていました。マイクの角度を直し
たので2度手間になってしまいました。ここでホルダーを動かすなという意味が
よく分かりました。結構マイクホルダーは動きやすいので慎重にやることが必要
です。
 マルチケーブルは、重いので上から下に垂らす時は注意が必要です。おもりな
どを使って止めておかないとケーブル自体の重さで下に引っ張られ危険です。音
響室から直引きでした。ホールの2階の音響室からステージにマルチケーブルを
垂らす時は、場所にもよると思いますが下で引っ張る時に本当に慎重に引っ張ら
ないと8Pのコネクタが落ちてきて危険ですし、コネクタにも衝撃を与えてしまい
ます。
 重ねて機材を運ぶ時は、取っ手の向きを揃えると降ろす時にスムーズに出来ま
す。
 ガリッた後に声でマイクチェックする時に、コンデンサマイクであるのにそれ
を忘れてオンマイクでチェックしてしまいました。それぞれのマイクの正しい距
離でマイクチェックをする必要があります。ブームで高くする時は、その前にマ
イクチェックをします。マイクのスイートスポットを知っておくも大事です。当
たり前のことですが、コンデンサマイクはマイクケーブルを抜く時には、ファン
タムが切ってなければなりません。私は、このことは、見落としやすいです。ミ
キサー側との必要な確認はをすることが必要です。
 110号ケーブルが音響室にありました。ヒャクトオです。元々は、電話交換
機の回線選択用に使われていたプラグで、それをそのまま音響用のパッチ盤に流
用したものだそうです。他のケーブルのように規格番号が名称になったものです
。バンタムを大きくしたような形をしています。ちなみに、ジャック側を110
に対して239Aと言うそうです。今回、110は接触が悪かったのですが、テス
ターで計って導通しないからといって断線とは限りません。110やバンタムの
プラグの部分は銅なので酸化をして導通しなくなることもあります。それでバン
タム磨きをピカールでやります。湿気も大敵です。今までかろうじて繋がってい
たところも湿気によってショートして信号がおかしくなってしまうかもしれませ
ん。
 音響室で110のパッチから卓側に結線する時に少し距離があったのでマルチ
ボックスを使いました。音響室内だけのケーブル引きだったのでローカルのマル
チボックスとマルチケーブルでした。
 デジタル機器には1.6msec位のディレイがあるそうです。音源とマイクの距離、
スピーカーと客の距離のディレイがあります。今回メインとフロントのマイクが
ありましたが、客席で音楽を聴いた時のようにするためフロントマイクに10msec
のディレイを入れたそうです。ソロにマイクを立てる時はオンになるのでミック
スした時にその楽器だけ前に出てきてしまうので、リバーブやディレイで周りの
楽器となじませます。イニシャルディレイは大体でいいので覚えておいたほうが
良いそうです。少ないエフェクトで最大限の効果を得ることが出来、音もクリア
になります。
 卓のアウトの中に運営系というものがありました。これは、ロビーや楽屋に流
れているホールの音です。運営系のアウトは、照明など他の部門にも送られます
。照明の位置からステージから出る音に合わせてピンスポを当てると200msecくら
い遅れてしまいタイミングがずれてしまうので、運営系のアウトを送ってタイミ
ングを合わせます。
 マイクケーブルをステージ上で引く時は、床の線に沿ったりして直線にします
。そうすれば、見栄えが良くなります。
 自分以外の人がしゃべっている時も耳を澄ましておくことも重要です。自分が
そこにいるのに、照明のスタッフと音響のスタッフが話していることをもう一度
話すとひと手間掛かってしまいます。自分の作業が疎かになってはいけませんが
、きちんと話もきていなければなりません。
 前日のリハで、57とかを置いていく時は、マイクホルダーに填めた状態で、ケ
ーブルを繋いだ状態にしておきます。そうする事で、盗難防止になります。マイ
クホルダーにマイクを填めておけば盗りづらいし、ケーブルを繋げておけばXLR
なので、一般の人は盗りづらいです。あと、人等がぶつかったりするかもしれな
いので、マイクを上に向けておきます。
 手元明かりは必要です。テスターと同じく常備です。ハンディーライトとかで
す。ホールでは必須ですし、場所にもよりますが、音響をやるのであれば、コン
ソールの後ろや、機材の後ろで結線したりする時に必要です。
 アンプラックを運ぶ時など二人で重いものを運ぶ時は、二人が同じ位置で持た
ないと片方に重さが掛かって人も機材も危険です。二人で声をかけて、何処を持
つかはっきり決めることで力が入りやすくなります。二人で無理なら無理をせず
、三人で持っていく方が良いです。気を付けましょう。無理をしないことです。
スピーカースタンドのスピーカーの昇降時に片手を上に支えてないと落ちてしま
う可能性もあると思います。
 クラシックの音響をやるときは、眠くなるので睡眠は十分に取っておくことで
す。眠くなるだけならいいですが、椅子に座っておらず、いろいろな機材のある
ところや、照明や楽器や綱元などがあり危険です。
 MOTU 24iでマルチで録りました。PCは録音してからHDDに書き込むのでそれが終
わってからでないと保存されません。DATはテープなので録音した分だけ録れます
。停電が急に起こった時は、PCでは、録音が消えてしまいます。DATだと録った分
は確実にテープに記録されているのでその点は安心です。停電用にバックアップ
になります。XLRのメスとデジタルI/Oも付いていたと思うのでTCD-D10PROのよう
です。
 LRのサイドモニターがあってWLの司会が下手側のサイドモニターの脇を通る時
にハウリングが起こります。その時は、サイドモニターのパンを上手に振ること
でハウリングは収まります。下手側は、近くに司会がいるのでモニターが小さく
てもある程度は音が遅れずに聞こえます。上手は司会と遠いので音が遅れてしま
うのでモニターを大きめにします。これをクロスモニターと言うそうです。
 撤収時、ステージに楽器がある時は、先にステージ上のマイクを片し、転倒等
を防ぎます。
 雨が降ってきた時は、素早く撤収します。積み込みもそうです。ささっと素早
くやって機材を守ります。
 ユーフォニウムにはソロの為のマイクを立てましたが、あまり知名度が高い楽
器ではないと思います。ユーフォニアムはチューバの仲間で、他にはマーチング
バンドでよく使われるベルが前向きのスーザフォンやバリトンがあります。ユー
フォニアムにはいくつか種類があって、国によって名前が入れ替わったりするの
で複雑です。
 緞帳の操作をする人からインカムで「次は司会が登場する」などの連絡が音響
や照明にありました。スタッフ間の連絡はスムーズな運営に欠かせません。他の
セクションとのコミュニケーションも大事だと思いました。
 当日の変更にもなるべく対処することが大事です。MDで録音されたナレーショ
ンは、当日の3部リハーサルが始まる前に到着しました。吹奏楽部の顧問の先生
が、Hi−MDで録音してきてしまったので、アナログでMDにコピーしたそう
です。そののち、CDRにデジタルでコピーしてバックアップとったそうです。
確かに、16秒のナレーションでもでなかったら終わりです。
 音漏れの多い音響室では、必ずプレイバックして生音のカブリが無い時に、実
際に録音されている音を確認します。これは、ヘッドフォンで音をとっていると
きと似ていて、実際に鳴っている音の分を差し引いて、音を録音してしまうのと
一緒だそうです。
 今回はクラシックと言う事なので、録音の音質に大きく関わるマイクはクラッ
シク用のヘッドアンプを使用しました。Millennia HV-3D8でした。
 ADATのVC-8も使いました。ADATはデジタルインターフェイスです。互換性はあ
りあせんが、形状はS/PDIFのオプティカルの角形と同じもので、8chの信号を同時
に送れます。

以上

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