2007年7月30日月曜日

2007.7.18 BonDonNight Surround2011 Live Recording STAFF REPORT 35RP-1

2007.7.18 Bong Dong Night Live Recording レポート

 7月18日(水)に中野のライブハウスで学生企画のイベントを開催し、それに
伴い当初はライブハウスPAさんからステレオの回線を頂き、それを録音しようとし
ていました。
 しかし、オーディエンスの反応といったライブならではの音が欲しいということ
になり、PAさんからの回線とは別にマイクを立ててみないかとなりました。
 そこで一番最初に浮かんだ案はSM57を2本オーディエンス用に使用し、PAさんか
らのステレオの回線とそれぞれProtoolsに録音するという案でした。そして、ライ
ブレコーディングを企画していく上で、富さんよりM-Aquaさん、Surround2011さん
が所有しておりますライブレコーディングの機材を貸し出してくれるとのお話を頂
き、是非使用させて頂きたいと、今回のライブレコーディングの話へと発展して行
きました。

 まず最初にイベント企画者に機材をレンタルしてのライブレコーディングをする
事に関しての許可を頂きに行った所、こちらに任して頂けるとの話を頂き、続いて
Surround2011の機材を所有しております三木さんに許可を頂き、最後にライブハウ
スさんにライブレコーディングに関しての質問を用意する運びとなりました。
 その前にSurround2011さんからの機材を借用することにあたり、
  一、機材に関する運搬、管理を自分達でしっかり行うこと。
  一、必ずサラウンドで録音をすること。

という二つの条件を提示されました。続いて、ライブハウスさんにライブレコーデ
ィングに関する質問を用意し、現段階で考えられる疑問を解決することにしました。

 ①ライブレコーディングをさせて頂けるのか。
 ②レコーディングの際の回線はどこから頂けるのか。
 ③こちらで会場に新たにオーディエンス(サラウンド)のマイクを立ててよいか。
 ④当日にレコーディングのシステムをどこに組めばよいか。

 それぞれ質問していく中で、①、③に関しては問題ないとの回答を頂き、④に
関しましても、実際に会場を見させて頂き確認することができました。問題にな
ったのが②の「レコーディングの回線をどこから頂けるのか」ということでした。
 質問をした際にライブハウスのPAさんからバンドは全部で13〜14回線をプランニ
ングしており、ステージ側のマルチボックスから頭分けで回線を使用するのがいい
のではないかとのことでしたが、ライブハウスさんには、8chのパラボックス
『8J12N1』が卓側、ステージ側の2個と16chの入力のみのマルチボックス『16B1F2』
と出力のみのマルチボックス『16B2F1』を所有しているという話でした。
 つまり、ライブハウスさんのマルチ全ての入力は最大で24chということです。
ステージ側から回線を頂いて録音すると考える中で、PAさんから提示されました条
件が、ステージ側のマルチパラボックス、さらにレコーディング用の立ち上げケー
ブルを用意いて欲しいとのことでした。M-Aquaさんの所有しております8chパラパラ
ボックスと8ch先バラXLR♂を2セット借用することで
16ch分のパラボックスができ、ステージ上の回線をそれぞれ16ch分のパラボックスに
入力したのち、ライブハウスが所有しております16chの入力のみのボックスに入力す
れば、PAさんのアドバイス通りのシステムを構築することができました。
 しかし、ここで富さんより「16chパラパラボックス『16J12F12』を購入する」との
御連絡を頂きました。よってこれで「レコーディングの回線をどこから頂けるのか」
の問題は解決しました。システムを設営する上でM-Aquaさんより借用することになり
ました。
 16chパラパラボックスのPA卓と反対側のマルチコネクターからマルチケーブルで結
線し、レコーディングシステム足下に16ch出力のみのマルチボックスを置けばシステ
ムがよりスッキリするのではないかと思いましたが、16chパラパラボックスのは片方
からしか出力しないとのことなので、当初より予定しておりました、8chマルチケー
ブル(大蛇)を2本用いて結線することにしました。また、マルチパラボックスに関
しては使わないchには絶対にケーブルをさしてはいけないことも忘れてはいけません。
 
 マルチボックスの問題が解決した時には、さらにライブハウスさんへの質問も増え
て行き、最終確認としまして

 ⑤レコーディングに使用する持ち込み機材の電源はどこから頂けるか。
 ⑥本番当日に16chマルチボックス、8chマルチボックスをステージの下手、上手
  どちらに配置するか。
 ⑦本番当日にシステム設営のために何時に会場入りできますか。

の3点です。⑤の電源に関してはシステム設営が楽屋に近いということもあり、
そこから容量15Aまで頂き、⑥のマルチボックスの配置場所に関しては、レコーディ
ングへの多大な配慮を頂き、最も近い下手側に配置して頂けるとのことでした。⑦の
当日の入り時間については、リハーサル、マルチの結線のことも考えて頂き、15時入
りとなりました。

 そして、この頃には借用します機材も明確に見えてきました。というのも以前に
M-Aquaさん、Surround2011さんのライブレコーディングの現場に同行させて頂いたこ
ともあり、同行しました現場の資料を見返し、機材に関してもインターネットで調べ
ることにより、ある程度まで自分達なりに考えた中で作成してみました。最初に作成
しました機材リストです。

M-AQUAさんより・・・ HD24×1
           16chマルチBOX×2(ステージ側+録音側)
           (Millenia HV3D-8×1)
           マイククランプ
           TRS-TRS×16(Millenia→HD24・SaffirePRO)
           16chマルチケーブル(20m以上)
           8ch大蛇×3
           ADATオプティカル×4
           IEEE1394(6pin)×1
           XLRーXLR 10mx8

Surround2011さんより・・・ ONYX800R×2
              SaffirePRO
              Cubase4(PCごと借用した方が?)
             (Word Clock Generator)
              BEHRINGER B-5x5
              マイククランプ

 機材につきましては、レコーディングの本線としまして、DAWのCubase4を使用し、
予備としてD2424で録音を行います。この時、最初はHD24を候補にあげていたので
すが、HD24はアナログとADATを混在して録音することができないため、最終的に
D2424を予備としました。H.Aはステージのマルチ回線はONYXを2台使用し、サラ
ウンドマイクとDJ(バンド転換時の繋ぎ、バンドごとの出ばやしに使用。)には最初、
SaffireのH.Aを使用してはどうかと思いましたが、その場合、予備に送った際に、
SaffireのOUTはCubaseを通過しているという事からも、レイテンシーの問題が発生す
るのではないかという疑問が浮かび上がりました。最終的に予備を含め確実に録音を
行いたいと思い、Millenia HV3D-8を使い、サラウンドのマイクはBEHRINGER B-5を
会場のバトンにマイククランプで固定させ収音を行おうと計画しました。
 サラウンドマイクに使用するケーブルについてですが、XLRーXLRの2Pを使用した方
が良いとのアドバイスを頂きました。やはり、撤収作業が早くなりますし、トラブル
を未然に防ぐことができるということからであると思います。
 そして、最終的な借用機材は以下のようになりました。(カッコ内は結線の流れです)

自分達で用意・・・モニター用ヘッドフォン MDR-CD900ST

M-AQUAさんより・・・ D2424×1
           16chマルチBOX×1
           ONYX800R×2
           Millenia HV3D-8×1
           SaffirePRO(電源含めてお願いします)
           Word Clock Generator
           マイククランプ
           ブーム×5
           電源タップ(最低8口分必要)
           XLRメス-TRSパラ×8 (Millenia→SaffirePRO・D2424)
           8ch大蛇×3 (ステージマルチボックス→それぞれのH.A)
           ADATオプティカル×4 (ONYX×2→SaffirePRO・D2424)
           IEEE1394(6pin)×1 (MacBook黒→SaffirePRO)
           BNC-BNC×4 (WC Generator→ONYX×2・SaffirePRO・D2424)
           XLR-XLR 2ペアケーブル×2(BEHRINGER B-5→Millenia)

Surround2011さんより・・・MacBook黒(Cubase4)×1
              LACIE 外付けHDD×2
              BEHRINGER B-5x5
              XLRーXLR 10mx8(BEHRINGER B-5→Millenia)
              マイククランプ

 借用機材リストも完成したので、M-Aquaさん、Surround2011さんの元へ機材を
受け取りに伺うことになりました。事前に双方と連絡を取り合い、1日で全ての
機材を受け取ろうと計画しました。奇しくも受け取り当日は学校があり、全授業
終了後に向かうこととなりました。最初に向かいましたのが、M-Aquaさんです。
 事前に高速の湾岸線に出て真っ直ぐ向かった方が早いとのアドバイスを受けて
いましたが、実際は、首都高速の6号向島線から銀座方面を抜けて向かってしま
しました。案の定6号向島線は渋滞しており、時間がかかってしましましたが、
無事到着することはできました。到着した際には小雨が降っており受け渡しは
高架橋の下で行いました。この際、自分達の車に毛布を敷き詰め、車での移動中
に機材が動いてしまわないようにといったの配慮を怠らないように注意しなくては
ならないと実感しました。また機材の受け取る際に、ラックにマウントされている
ケース等は、一度ケースを空け付属されているケーブルの確認を行いました。
 当然ながらこの確認は一度自分達の車内に機材を積んでから行いました。
M-Aquaさんでの機材の受け取り終了後、続いてSurround2011さんの機材を受け取り
に向かいました。Surround2011さんからも事前に教えていたた場所まで向かうこと
となりました。Surround2011さんとの待ち合わせより早く到着してしまい、
近くの駅まで向かうことにしました。当然M-Aquaさんより受け取りました機材を
積んでいたため慎重に運転をしていましたが、移動の途中で信号無視をしてしまう
という前代未聞のことをしてしまいました。集中力が切れてしまっていたのかも
しれませんが、自分としましても非常に反省することになりました。
時間はかかってしまいましたが、Surround2011さんから借用します機材を受け取る
こともできました。
 Surround2011さんからの機材の中にMacBook黒(Cubase4)があり、先に受け取りま
したSaffirePROとの設定もあり、近くのファミレスでセットアップの方法を教えて
頂きました。自宅に帰宅し、借用機材リスト通りの全ての機材があるかの確認と機
材のシステムのチェックを行いました。
 また、特に重要な機材に関しては車に積んだままにせず、自宅の中まで持って行
きました。その後は受け渡し時に教えて頂いたレコーダー、Cubase4、SaffirePROの
操作方法を再確認しました。Cubase4に関しては、本番当日にファイルを開けばすぐ
に録音できる状態になるように事前にファイルを作成しておくことにしました。

D2424・・・赤(REC)を一度押して全chインプットモニターに。
      停止+F.F で、記録時の最後にリサーチできる。
      ADAT(ONYX)を1〜16chに。
      ファイルは「Bong Dong」が既にできているのでそこに記録する。

Saffire・・・S/Rate 44.1 Sync:W/CLK(SYNC LOCKを確認)
      調子の悪い時は、本体電源 or 一度 Saffire を落として再起動。

Cubase・・・ File → New Porject → Empty(外付けHDを選択)
Project Setup・・・Length:3:00:00:00
         Sample rate:44.1
         Record format:24 bit
         Stereo Pan Low:-3dB
         Display format:Time code
         project → Add Audio Track ※Count:26 Mono に設定する。
       
Input のアサイン方法:Device → VST Connections → Input
           Device Port が Mono In 1 → Pro 26 IO 11
※Cubase Bus Nameの1〜8ch → Saffire
           9,10ch → Saffire S/P DIF
           11〜18ch → Saffire ADAT①
           19〜26ch → Saffire ADAT②

H.A から組上げて、ONYX1台目が1ch〜、ONYX2台目が9ch〜、3台目(Millenia)が
17ch〜、になるようにCubase上で設定を行う。
       
グループを組まないこと。→ピークしてしまうので、最初にグループを組んでしまい、
フェーダーを予め下げておく。
Shift を押しながら、複数のトラックを選択。選択後、Control + click →
「Channel Va〜」。解除も Control + click で

その他の設定として・・・Preference → Editing → Project & Mixer →
『Enable Record on Selected Track』のチェックを解除。
            Preference → Auto Monitoring →Tapemachine style
・・・Rec したモノが Input の状態。

Mix Windowに関して・・・Input、Output、Audio・・・ミックスウィンドウで見れる
トラック。→】:Input Channel を隠す。▷◁:トラックの拡大/縮小
 ※共にミックスウィンドウ。
             Audio トラックの 上部の Bus に入力を各々割り当てる。

Buffer の設定
Device → Setup → VST Audio system 。Audio Buffer size 512 samples。
ミックスの際にも常時チェックしてみる。

Device → VST Performance・・・CPU と DISK の状態を常時チェック可能。
                Disk に問題が生じた場合、HD 自体をはずし
                、熱を逃がす or 振動を防ぐこと。
                エラー:メーターが振れっぱなしの状態になり、
エラーメッセージが出て来る。

 本番当日、持ち込み機材のこともありましたので車での移動となりました。
授業終了後、直ちにライブハウスに向かい、第一に持ち込み機材を降ろし、
車は近くの駐車場へ移動させました。機材の搬入は演奏者の方々の手を借りること
もでき速やかに行えました。続いて、システムの設営へと向かいました。
 事前に考えていた順番でラックを組み上げていき、電源に関しては、テスター
を使用し極性を測ったのち、極性を合わせ電源を取りました。ケーブルに関しま
しては、最初に8chマルチケーブル(大蛇)を、持ち込みました16chパラパラボックス、
ライブハウスにあります8chパラボックスから結線し、その後レコーディングシステム
の結線を行いました。同時進行でアラウンドマイクをバトンに取り付けていく作業を
行いました。
 サラウンドマイクのマイクアレンジに関しましては、当初ワンポイントマイクアレイ
(WMMA)を使用し、マイクを中央から外側へ向けるのと、5本のマイクをそれぞれを
5カ所それぞれに立て中央に向けるとの2種類で大いに悩みました。ワンポイントで
収録する場合には客席中央に立てたいと思いましたが、ライブハウスさんの会場中央に
は設置することもできず、今回は5本のマイクをそれぞれ立て、中央を向けるという方
法にしました。客席にマイクスタンドを使用して立てるわけにもいかず、バトンに吊ろ
うと考えマイククランプを借用しました。天井のバトンは鉄のパイプであり円形であっ
たため、借用しましたマイククランプではしっかりと固定できませんでした。後方のLs、
Rschに関しましては、客席後方ということもありましてクランプで固定後、ビニテで
クランプ部を固定することで対応しました。前方にありますL、C、Rchに関しては、
機材を受け取った際にステージL、C、Rchはミニブームを使用した方がいいのではとアド
バイスを受けミニブームを3本借りましたが、今回のステージはマイクスタンドを立て
るスペースを確保できないと思い、特にCに関しては、演奏者、観客に当たってしまう
のではないかという不安もありました。また当日はライブハウスさんより鉄パイプにも
しっかりと固定できるよう3点で固定する形のマイククランプを用意して頂いており、
用意して頂いたマイククランプを使用し前方のL、C、Rchはステージ最前線のバトンに
吊ることにしました。ステージ最前線のバトンは照明機器も多数吊ってあり、ケーブル
をバトンに這わす際にも、照明機器等によってケーブルが焼けてしまわないように十分
注意しなくてはなりません。また、マイククランプはマイクをつけた際にマイクの重みで
マイククランプ部分から抜け落ちてしまうことがあるかもしれないので、十分注意しなく
てはならないです。
 本番時の回線に関しましては
 
 01. Bass     09. Gt(下手)     17. DJ-L
 02. Kick      10. Bass.Cho    18. DJ-R
 03. SN      11. Vox       19. Surround-L
 04. H.H      12. Gt.Cho      20. Surround-C
 05. F.Tom     13. Dr.Cho      21. Surround-R
 06. M.Tom    14.          22. Surround-Ls
 07. H.Tom 15.          23. Surround-Rs
 08. Gt(上手)    16.          24.

 システム構築後、各回線の回線チェック、サラウンドマイクの回線チェックを行い、
バンドのリハーサルが始まり、リハーサル段階での音をそれぞれ録音し、プレイバックを
行い録音を確認しました。確認の際にSaffireのヘッドフォンアウトが出ないというトラ
ブルがありましたが、パソコン内のSaffireの設定を変えることで確認することができま
した。予備であるD2424に関してはレベルメーターによる確認に終わりました。
 イベント本番が始まりますと、客席内にシステムを組んでいたことからもモニタリ
ングに苦戦をしましたが、レベルメーターが振れていることで録音を確認しました。
 予備のD2424は常に録音状態にして回しておき、本線でありますCubase4に関しまして
はMCが入る時に一度止め、止めることでファイルが確実にできるようにしました。
 録音を続けていく中で、Cubase4の録音が止まってしまうというトラブルに遭遇しました。
おそらくバッファーが問題であったからではないかと思い、バッファー数値を変更し、
録音を再開してみました。しかし、この現象が消えることはありませんでした。
本番終了後にファイルの保存先がLacieの外付けHDではなく、内蔵のHDだったからでは
ないかと思い後日検証してみましたが、明確な原因はみつかりませんでした。
本番中は何回も録音が止まってしまう中で、録音を続けていました。今になって思えば
システムを再起動するべきではなかったのではないかと思います。
 本番終了後は、演奏者、イベント参加者さんからも手を貸して頂き、速やかに撤収
することができました。撤収の際は、こちらの持ち込み機材が全てあるか、ライブ
ハウスさんの用意して頂いたマイククランプを確認し、迅速に行うことができたと思います。
借用しました機材に関しましては、本番終了時にライブハウスの近くにM-Aquaさんに来て
頂いており、その場で返却することができました。よって借用機材に関しましては
Surround2011さんの機材を自宅へ持ち帰ることとなりました。

 後日、本番時に使用したCubase4のこともあったので、予備にしましたD2424のデータ
のバックアップを取って頂いたものを頂くことになりましたが、すぐに外付けHDを用意
することができず、時間がかかってしまったことが非常に反省すべき点であったと思います。
データのバックアップを受け取った後、自宅でサラウンドマイクで収録したものを試聴しました。
マイクアレンジが悪かったのかもしれませんし、会場の広さの問題があったからかも
しれませんが、今後のミックスによると思います。
『録音はミックスが終わるまでが録音である』という言葉がとても印象に残っています。

 最後になりましたが、機材を貸し出しして頂き、多くのアドバイスを教えて下さい
ましたM-Aquaさん、Surround2011さん。ライブハウスのClub Heavy Sickさん、
PA担当の金子さん、イベント企画者である山本氏、森岡氏、出演者の皆さん、ずっと
同行して頂いた平澤氏、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

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