2005年12月17日土曜日

2005.12.17 GOSPEL LIVE SR REPORT 34SI

WSCOクリスマスコンサート2005レポート
34SI
 今回はゴスペルコーラスグループのコンサートのSRアシスタントとして参加させていただきました。今まで参加させていただいた現場の中でも一番規模も大きく、機材も多かったので大変ではありましたが、とても楽しんでできました。
 今回特に学んだことは以下の項目にまとめます。
① スピーカー位置
② 結線について(回線表の正確な把握)
③ OFFマイクで音源の音を拾う場合のマイキング
④ PA・SRエンジニアの立ち位置と視点
まず、①についてですが、今回は今までと比べて大きなホールでのSRだったので、スピーカーの数やケーブルその他の長さも必要となりました。そのため、ケーブルが邪魔にならないように結線したりという気遣いが必要でした。また、ホール自体の反響が大きかったので、スピーカーの位置を何度も確認しなおしたり、チューニングにも時間がかかりました。ホールの構造などが音に対して大きな影響を与えているということが、直に感じることができました。
②については、今回沢山のケーブルや機材を用いたので、どのケーブルがどの機材に結線されているのかを把握するのが大変でした。どのモニターがどのアンプから繋がっているか、上手に必要な物は何か、下手はどうか、マルチボックスのどこに何が繋がっているかなど、限られた時間の中で正確に把握することが必要となりました。また、16chのマルチボックスでは、当日に大幅な変更もあったので、ステージ側というのはその場その場で状況が変わることもあり得るし、それを臨機応変に対処していくことが必要でした。今回は、平台を当日に組んだ事もあり、それをちゃんとイメージした上でセッティングしていかなければ、時間が無駄になってしまうということがわかりました。それには、前々からの下調べときちんとした計画を立てることが必要だと思いました。
また、今回初めてデジタルの卓を触ったのですが、触ってみてようやくコンソールの方の回線表のイメージがつきました。レイヤーの切り替え、HAに別のアンプが必要な理由や、マイクやSPをパラにすることによって、回線を減らす工夫などです。今回、結線についてとても勉強になったと感じます。
次に③ですが、これは本番直前まで決定しなかったので、かなり焦りました。当初、コーラス側のマイクは、ダイナミックマイク(SM57・SM58)を計14本、コンデンサマイクを2本という予定で、当日の朝セッティングしたわけですが、かなり大幅変更になりました。結局、ダイナミックマイクは一本も使わず、コンデンサマイク(計8?10?本)でまかなう事になりました。それでもOFFマイクではどうしても低音が弱く、結局リードの3本のダイナミックマイクのうちの1本をベース側のコーラスに立てることになりました(当初は低音をかせぐために、低音のよく出るSM58をベース側にする予定でしたが)。本番直前でもそういった変更があるのだと驚きました。よりよいステージにするために、あの場にいた全員が試行錯誤していたように感じました。
また、全てをOFFマイクに頼るというのは非常に難しいことだと思いました。音がちゃんと拾えないので、空気音ばかりをマイクが拾ってしまい、ノイズになってしまったり、上記に記したように低音が削れてしまったりといった問題が出ました。ゴスペルのコーラスのコンサートなどでは、生音の割合が大きい方が好まれるので、ステージ上をあまりごちゃごちゃさせたくない、という意図があるようですが、その辺の兼合いも大変でした。無理にマイクを遠ざけたり数を減らそうとしても、いい音を作ることができないし、かといって、あまりに仰々しいステージにしてしまうと、コンサートの内容が損なわれてしまう、という表裏の問題に衝突しました。しかし、出演者やディレクターから要求された内容(マイクの数など)でいい音を作ることがエンジニアとして必要なことでもあるので、それをうまく受け取ることも大事だと感じました。
最後に④ですが、今回のコンサートで一番勉強になったのはこの点だと思っています。たった2時間弱のコンサートのために、前々からしっかりとしたプランを立て、回線表や機材を考え、前日からセッティングをし、長い時間チューニングをし、突然マイクの変更があったりして、ああでもない、こうでもないと試行錯誤するのは非常に大変な事です。今回のコンサートでは特にそれを感じました。しかし、本番を間近で見ていて、『このためにこの仕事があるんだ』と確信しました。自分のこれから進んでいく道と、その立ち位置を再確認した感じがしました。本番を見たとき、『コンサートというのは、出演者と同様にエンジニアも一緒に演じているんだ』と思いました。この瞬間を得るために存在している仕事なのかもしれないと思うほど、充実感と感動がありました。
そして、エンジニアに求められる事として、一つ気づいた事は、『冷静さ』です。本番前、本番中、撤収、全てにおいて常に冷静でなければならないと感じました。出演者と観客の両側に立って物事を考えるというのは、非常に大事なことで、それがエンジニアに必要なことだと思いました。特に本番中の集中力はすごいものでした。
今回のコンサートで、一番感じたのはそういったことでした。沢山の技術的に重要なことも大事ですが、そういったやる気や精神的な面も多く学べた気がします。参加させていただき、ありがとうございました。

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