2018年10月8日月曜日

2018.10.08 Overseas Audio Operations Technical

2018.10.08 Overseas Audio Operations Technical

今回の記事は保存版です。
私は、12年間の放送局勤めで、イギリスロケ、バリ島中継、上海中継に携わりました。
個人事業を起業してから、2015年と2018年に中国北京の音楽大学へPA録音と携わりました。


イギリス ジャージー島にて 1994年くらい

秘匿情報など、解りにくい部分も多いと思いますが、何かのヒントになればと思い、記事としてまとめさせていただきました。

"海外小規模音響業務における注意点"

目次
1:機材携行移動の要点

2:トラブルの80%が電源

3:ケーブルを信じない→調べる→直す

4:お金を出せば、すぐ対応。


1:機材携行移動の要点

依頼の音響業務が、現地の機材を主に使うにせよ、日本から持込をすることもあると思います。

a:本来、商用利用の場合"カルネ”が必要となります。

カルネとは(引用 https://jcaa.or.jp/carnet-j/1.html )
"ATA条約(物品の一時輸入のための通関手帳に関する条約)に基づき、職業用具、商品見本、展示会への出品物などの物品を外国へ一時的に持ち込む場合、外国の税関で免税扱いの一時輸入通関が手軽にできる通関手帳です。
ATAカルネは外国への輸入税の支払いや保証金の提供が不要となる支払保証書でもあります。
一つのATAカルネで通関手続きの異なる数か国の税関でも使用できるため、非常に便利な通関書類です。"

放送局で3回の海外音響業務に携わりましたが、ロケーションなどのENG機材については、カルネについて概ね緩いようです(ほぼAudio機材1式)。トランク一個40kgくらいと、個人のスーツケース20kg、エクセス(超過料金)をいろいろコーディネーターが、往路復路ともに交渉しておりました。
バリ中継では、コンテナ丸ごと送るような大中継だったので、チーフクラスが、カルネを作成したようですが、ワイヤレスマイクについては、かなりグレーで、免許紛失失効を恐れてレンタル品を使用していました。

今回サンプルケースとなる2回の音響業務では、教育機関での研究録音ということで、カルネの取得は致しませんでした。

b:相手国の入出国時に個人機材のスタンスとして、2つが挙げられます。

『この機材を相手国で売却して、儲けようという意思がないこと』
『高価な楽器と同じで、代替えが効かない』

c:機材携行を書面で記すこと。

2回の音響業務では、受入先の教育機関に、機材携行の理由を書いた書類を作成してもらいました。

1回目は、大学でのコンサート音響とレクチャーでした。
多くの機材を現地音響メーカー、大学の協力がありましたので、軽微なマイク、ケーブル、工具(これが厄介後述)、ヘッドフォン類の持込と、あくまでチャリティコンサートの音響研究協力と講演ということで、身元の保険のような形で、以下の書面を用意していきました。


文面を英文で用意して、ハンコとサインを受け入れ側の大学に準備してもらいました。


2回目は、研究録音でした。
スタンド以外のほぼ全ての機材、特に高価なDPA SCHOEPSなどのマイクを持ち込むため、機材票として明記し、盗難時の対応のため事前にシリアルなども控えておきました。



いずれも機材と書面を擦り合わせることなどはございませんでした。
ただ、慣れない外国語での出入国審査は、英語または相手国言語での書面を持参していることが、心強い印籠となりました。

d:航空機への機材携行注意点

1回目は、出国時に多くの工具を機内持込手荷物としていたため、カッター(NG)、ニッパー(△)、爪切り(生活日常品でもNG)、尖ったもの、などは往路の羽田で没収されました。
2回目の携行品で、特筆はテスターと変圧器です。
変圧器ですが、後々電源について語る前に、ジーというノイズが大きく、録音時は使えませんでした(事前に気づけ、、、)。


1回目は、こんな感じでした。
ペアのマイクケーブル、クリップマイク、ヘッドフォン、がかさばってましたが、小さめのキャリーに詰め込みました。

左側の緑は私物、右側の青いキャリーが音響工具一式。


2回目は、大荷物です。
かなり大きなオレンジのスーツケースに、パソコン2台、マイク、ヘッドフォン、予備レコーダー等。もう一つが3Uラックにインターフェース・マイクプリ・ヘッドフォンアンプ類です。



ここで、大切なこと。
エコノミーでは預けられる荷物は2つまでです。
エコノミーでは預けられる荷物は2つまでです。
全然知りませんでした。

また、多くの航空会社では、荷物1個を22-23kgにしなければならないのです。
羽田で詰め替えをしパソコン一個を手荷物に振り分けて、20kg程度に抑えました。
そして、同行の教授が幸いスーツケース1個だったので、キャリーを教授の荷物として預けました。

弦管楽器演奏者の方は、色々な方法でやりとりしているようですが、我々の持ち込む音響機材は大型で、ノウハウが必要かもしれないですね。

2:トラブルの80%が電源

日本でも、老朽化したコンセントからの電気火災が増えてきておりますが、海外はそのコンセントの緩さがハンパないです。
1回目の音響時、同行の教授の変圧器が、ルーズコネクトのため、ホテルで煙を吐き、あっという間にNGでした。

日本は、2Pか3Pで統一されておりますが、海外は様々な形のコンセント形状がございます。

そして、これは意外なんですが、日本同様、2Pでの(方向性にこだわらない)利用も圧倒的に多いです。

事前にできることといえば

a:相手国の主要なコンセント形状の調査

b:変換コネクターと変圧器を準備

c:持ち込む機材がユニバーサル電源かの確認!


どの国も比較的電源の変換タップは日常的に使われているので、その国の物を使うのが良いと思います。


特に中国では、あらゆる電源タップの形があって、(しかも220V)100Vに変換してから対応しようと考えてましたが、ルーズコネクトの対応もあり、一個一個電源をしっかり挿して動作させておりました。

以下の画像をご覧ください。


2回目の北京録音です。

日本製のFOSTEX PH50ヘッドフォンアンプを使用していましたが、きちんと電源対応電圧を調べずにコンセント挿入10分くらいで、、、。

『なんか焼き芋くさい』
『外で天津甘栗焼いてたからだね(笑い)』
とか言ってる間に、煙が出ました。
帰国後、メーカーで修理していただいたところ、電源コンデンサーの焼損(1万円)でした。

帰国後の内部画像



変圧器を使うことができなかったのと、ついて最初の録音で慌ててた。
200Vに挿したら終わり。電源電圧の確認がこれほど大切かと身に沁みた出来事でした。

3:ケーブルを信じない→調べる→直す

1回目のコンサートでは、上海のYAMAHA現地法人が全面的に、協力してくれました。
CL5、Rio3224(2台)、DSR115/115/118(1対向)、DXR12(モニター合計6本)と、ほぼ日本の環境で作業が出来ました。

ただ、私自身QLを使い始めて半年ほどだったのと、コンサート数日前にチェックを行いたく、事前に機材チェックを行いました。




そこで、概ね機材を確認したのですが、担当の中国人スタッフが、いつまでたってもCAT5のケーブルを見せてくれない。
まあ、のんびりしているんでしょうと、大学の購買でLANケーブルを購入してきてもらってチェックを済ませ、帰りがけに持ってきたCAT5ケーブルが、ほぼ電話線の両端にコネクターを取り付けたようなケーブルでした。



本番で使用する予定のマイクケーブルも含め、全数の音声ケーブルの導通をチェックし、準備の日を終えました。

該当の大学には、音響のコースもあり、特にトラブルがあった(2-3逆)ケーブルはありませんでしたが、ケーブルは全て購入したもので、『ケーブルを治す』とか、『調べる』という技術は持ち合わせていないようでした。

ケーブルの導通チェック及び、電源電圧の確認で使えるので、テスター(予備電池含む)は必須だと思います。

4:お金を出せば、すぐ対応。

2回目に北京に伺う前に、瀋陽からの留学生に聞いたところ、『北京ほどの都心であれば、お金を出せば電話一本で何でも持ってきますよ』とのこと。

しかし、大事なことがありまして。
機材のトラブルなどで困った時にネットなどで調べることが可能かどうか、現地のwifi、セルラーネット回線、など日本で当たり前のことについて調べておく必要があると思います。

インターネット規制があれど、今回docomoの海外グローバルサービスを利用してみましたが、帰国1ヶ月あとの請求が¥36,000でした。
このくらいで済んで良かったと思いますが、つくづく、羽田や成田のwifiサービスは、このためにあるのだなと思った次第です。

本質の録音及びPA(Live Sound)事情について語りたいところですが、このくらいで、後は直接質問してください。



2019.02.14ひとまず投稿

0 件のコメント: