2007年8月15日水曜日

2007.7.18 BonDonNight Surround2011 Live Recording STAFF REPORT 35RP-2

2007.7.18 BONDON Night 5.1 Live Recording STAFF REPORT 35RP

7月18日の「BongDongNight」レコーディングのレポートです。

2007年7月18日、中野heavy sick zeroにて、2RPの山本裕太君・森岡謙君が主
催し、学内の仲間達でLive&DJを行ったイベント「BongDongNight」が催され
ました。
録音をしたいという話は前から出ていたのですが、機材を貸して頂けるとい
うお話をいただき、メインのフロアで行われるLive演奏について、各楽器を
PAとパラで頭わけすることによるマルチ収録と、5点(L,C,R,Ls,Rs)に吊っ
たマイクによる5.0サラウンド収録をさせて頂ける事になりました。
以下、それについてのレポートです。


・出演するバンドは4つ、編成は全てドラム・ベース・ギター・ボーカルの
 4人編成。最初のバンドのみボーカルがギターを持つ。

・バンドの回線数は最大時で13。
 それと、つなぎのDJのラインの音ももらって録音した。
16chボックス
1 Bass(Line)
2 Kick
3 SN
4 HH
5 F.Tom
6.M.Tom
7 H.Tom
8 下手Gt.Amp
9 上手Gt.Amp
10 Ba.Cho
11 Vocal
12 Gt.Cho
13 Dr.Cho
ボーカルがギターを持たない・M.Tomを使わない時は減っている。
しかし録音自体は常に全てのチャンネルを録り続けていた。
容量に余裕があった事と、本番中バンドごとにレコーダーの設定をいちいち変
更する事にリスクを感じた事からであるが、もっと回線が大幅に変わる場合だ
ったら変える必要があるだろうと思う。

8chボックス
1 DJ-L
2 DJ-R
DJミキサーのラインアウトもパラでもらって録音したが、そのフロアにおいて
DJはバンド間のつなぎであり、またサラウンドマイクで収録されたハウススピ
ーカーからの音の方がライブハウスの雰囲気を再現できていていて、結果的に
不必要であった。


・録音システム
各マイク → ステージ側16chパラBOX → ONYX800R× → ADATでSaffire
PRO(→Cubase)&D2424(ONYXは、サンプリングレートが44.1/48kHzの場合
8chの出力を同系統で2つ出せる)
サラウンドマイク・DJミキサーのout → Millenia HV3D-8 → アナログで
SaffirePRO(Cubase)&D2424(XLR→TRSパラケーブルを使用)
レコーダーは本線としてCubase・予備としてD2424

録音側の回線は、全てマルチからの順番通り。
HV3D-8への入力は、
1 DJ-L
2 DJ-R
3 サラウンドマイクL
4 サラウンドマイクC
5 サラウンドマイクR
6 サラウンドマイクLs
7 サラウンドマイクRs
マルチ→HA→レコーダーの流れで全て順番通り(ラック上段ONYX→1-8ch・
ラック下段ONYX→9-16ch・HV3D-8→17-24ch)。混乱が無かった。

・録音でステージ側にマイクを立てても良いとの事だったが、ステージが
狭い事を考え、立てなくても良いということにした。
しかし録音が終わってから、実際にMIX作業を進めていく中で、ドラムの
オーバーヘッド・スネアのリア・ベースアンプの3つには別にマイクを立
てた方が良かったのではないかと考えた。
シンバルの音は実際には色々なマイクに回り込んでいるが、やはり録音に
おいては全体を録るという意味でもオーバーヘッドのマイクはあった方が
良い。
スネアは、曲によって、スナッピーの音がもう少し欲しいと思うポイント
があった。
ベースは、ベースアンプを通じてベーシストが作った音を生かす意味でも、
ライン録りと合わせて録っておく必要があると感じた。やはりライン録り
の音には太さがないので、今回ライン録りしたものについては、ミックス
の際にベースアンプシミュレーターのプラグインで処理した。

・PAが立てたマイクについて、注文を付けるわけではなくとも、少なくと
も距離や角度など注意してみておくべきだった。
例えばドラムは一人一人セッティングが微妙に違うので、マイクも動く事
になる。それは、当然マイクが拾う音が変わる事になり、録音した物の音
質に影響してしまう。
録り終わってしまった物は、EQで対応するしかない。

・PAとの回線の分け方は、ステージ側マルチボックスでパラ。ライブハウ
スにあった16chボックスはパラにできるマルチボックスでなかったため、
こちらでパラマルチボックスを用意する事で解決した。
また、ステージ側に出ているマルチケーブルが長く、ボックスを、録音シ
ステムを組んだ下手ハウスSPの脇まで持って来させて頂く事が出来た。
これは引き回しの効率の面で非常に助かった。
DJの入力はライブハウス側の8chボックスであったが、これはパラボックス
であり、問題なしであった。

・PA側にマルチケーブルが伸び、録音側はBOXのオスコネクタから「8ch大
蛇ケーブル」(8chマルチケーブルの両端が全てXLRでバラになっている)
を3本利用してシステムまで結線した。
これは、きれいな引き回し・結線のミスを減らす(HAの入力が8chずつで
ある事・コネクタに番号が振ってあるという事から、わかりやすかった)
という点で非常に効率的であった。 1本ずつのケーブルでやっていたら、
時間もかかるしミスの可能性も増える。

・頭分けの方法としては、PA卓にスプリッターOUTもあるとの事であったが、
PAブースは狭く、そこで作業出来ないとなるとまた長くケーブルを引き
回す必要性があるため、ライブハウス側と話し合った結果、最も引き回しの
効率が良い方法として、マルチボックスでのパラを選択した。
パラでの頭分けはリスクが大きい(ノイズ混入などの危険性が高くなる)と
思ったが、実際には大きな影響は出なかった。

・MC中などに「プチッ」というノイズが混入しているヶ所が何カ所かある。
1ヶ所だけ演奏中に、上手ギターの回線で「プチプチプチ」という連続した
ノイズが乗ってしまった箇所がある。
 Ls,Rsなど、ギターの音を拾っている回線を利用して修正・対応したい。
いずれにしても原因は不明である。可能性として、上記のようにパラで頭
分けをした事によって、PA卓側の何かに影響されたという事は考えられる。

・電源は口自体は近くに4つあったが、全て共通の15Aからと言う事だった。
足りなければライブハウス側で引き回して用意していただけるとの事だった。
実際には15A×で足りて問題なかったが、ライブハウス側の非常に親切な心遣
いのおかげで、安心してセッティングを進められた。まさに「音のセクション
は助け合い」であると感じた。
自分がいっぱいいっぱいだった事もあって、何もPA側に対して気遣いが出
来なかったが、これを良い経験として次の機会に生かしたい。

・ライブハウスに事前に2度下見を行ったが、どちらも非常に丁寧な対応を
して頂き助かった。
録音の許可+サラウンドマイクを吊る許可、頭分けの方法、システムの設置
場所、電源の取り方、などをライブハウス側と話し合った。
今回は1度行った後にまた確認事項が発生してしまい、2回目の下見をする
事になった。
しかしこれは本来二度手間であり、下見前に十分な準備をして、漏れの無い
ようにする事が必要であったと感じた。

・HA→レコーダーへ直でつないだため、卓を経由しておらず、Cubase上でモ
ニターミックスを作り、モニターする事にした。
D2424のアウトを取る事はできなかったため、予備回線はモニターせずの録音
だった。
しかし実際にはハウススピーカーからの爆音で、モニターヘッドフォンをして
もほとんど音の判断はできなかった。
更に、SaffirePROのアウトプットにおいて調子が悪い時があり(原因は不明・
後日再び動かした時も何度か発生)、急にモニターOUTが出力されなくなる
事象が発生して、混乱した。
しかしリハーサルから本番までの間に直り、試し録りをしたものを聴く事が
できた。この時点で、上述したように、音を聴いてマイクを増やす判断がで
きていれば、と思う。今後に生かしたい。

・サラウンドマイクは、BEHRINGER B-5×ををL,C,R,LsRsとして、フロアの天井
を這っている鉄のパイプにクランプし、それぞれ5点に吊った。
L,C,Rはステージ面の上方にあるパイプへ、Ls,Rsはフロア上方にあるパイプへ
設置した。
ただし、パイプの位置の関係でRsのマイクが中央寄りにならざるを得なかった。
この分Lsのマイクよりステージに近くなり、音量が大きく・音の到達が早くな
っているため、他のサラウンドマイクと合わせて生かす際の処理としてレベル
ダウンやディレイを施す必要性が考えられる。
単一指向性であるB-5を内側(フロア中央)に向けたが、これはサラウンドに
おける音像の定位という点では、良くなかったと思われる。
(各マイクに対して音圧差が生じにくいため?)
後日実際にサラウンド環境で聴取したが、やはり定位がわかりにくいのと、
Ls,Rsが前を向いているためL,C,Rよりも明瞭にハウススピーカーの音を拾って
しまっている。これは不自然であると思う。
アンビエンス効果としても、L,C,Rに関しては、音楽のジャンル的にハウスから
の出音が大きく鳴っているため、スピーカーの低音域の回り込みばかり強くな
っていて良い空間の音ではなかった。
Ls,Rsの音は、当日ライブハウスで鳴っていた「空間の音」を録れていると思う。
2chミックスにも利用したい。
やはり、サラウンド収録においては、狭いエリアでの設置にしても、ワンポイ
ントで5本を、単一指向性であれば外側へ向けるのが定石であると思った。

・搬入出は効率的に。時間短縮を心がける。当たり前であるが、大切。特にラ
イブあれば他のセクション(PA、照明)との兼ね合いが多く発生するため。
今回、もっと速やかにシステムが組み終わっていれば、もっと余裕を持って音
を聴いてチェックする時間を持てたと思う。
研修よりも、実際に自分が主体的に動く立場になって、その意味を体感できた。


以上です。
機材借用・アドバイスなど、色々お世話になりました。

0 件のコメント: