2007年5月9日水曜日

2007.5.4-5 BRASS BAND LIVERECORDING&SR STAFF REPORT 36RP-1

2007.5.4-5 BRASS BAND LIVERECORDING&SR STAFF REPORT 36RP-1

募集を見て、音響に関する知識がほとんどないまま参加希望を出しました。
打ち合わせの段階では何をするのか、何が分からないかも分からない状況で、
非常に不安でしたが、リハ・本番の2日間を終えた今、無茶と思いながらも
積極的に参加して本当に良かったなと思います。


打ち合わせの段階で富さんに言われていたのは、
「8の字巻きは必ずできるようにしておくこと」。
先輩方に放課後教えていただいたり、授業でも練習し、とりあえず習得し、
現場へ挑みました。

この2日間で実感したのが、巻けても解くことが出来なくては、
意味がないということです。
解くというのは引っ張れば良いように思っていましたが経験してみると、
間違った方向に引っ張ってしまったり、ケーブル同士が変なところを通っていると
引っ張ったときに絡まって結ばれ、とんでもないことになるのです。
これは人にやり方を聞くよりも自分で失敗・研究して習得するべきだと思い、
あえて質問しませんでした。
ケーブルを巻く、解く機会は2日間で何度もありましたが、
ちゃんとしたやり方を身に付けられなかったので要練習です。

会場で機材搬入が終わると音響はまず、
とりあえずマイク・スタンド・ケーブルを結線しての、
回線チェックから始まりました。

マイクを叩いたりするのは絶対にタブーなことだと思っていたので、
はじめに回線チェックの光景を見たときは「え!?」と思いました。
爪を使ってガリガリ引っかいていたのです。この工程を「ガリ」と呼ぶそうです。

この行為の意味は・・・
声だけだと、近くにあるマイクに入ってしまった音で、
メーターが触れている可能性がある

マイクに直接触れてガリガリすること(かぶりが発生しない)で、
対象のマイクが生きていることを確認。

ガリOKの合図が出ると続いて声によるチェックです。

アンコールボーカル用、SM58の場合の例
「アンコールボーカルマイク、SM58です。
 いかがでしょうか、いかがでしょうか。」

またマイクからおよそ何センチ離れているかを伝えるのも重要。
「アンコールボーカルマイク、約30センチ地点で話しています。
 いかがでしょうか。」
このような言葉を音響室での調整が終わるまで連呼します。

マイクチェックは、ただ回線が生きているかを確認するだけだと
思っていましたが、同時音質まで調整しているのですね。

またクラシック録音等で使う3点吊マイクのマイクチェック法は…
ステージセンターで同じように連呼


音像チェックのために(通常)下手から手を叩きながら徐々に上手へ移動。
ちなみに3点吊の位置は「勘だ!」とのこと。
音響のことを考えてベストポジションに配置すると、
照明に不都合が出てしまうことも。
そこで「ここじゃなきゃ駄目だ!」とムキにならずに、
回りの仕事に配慮することも円滑に進める重要な心がけのようです。

今回、照明との兼ね合いで3点吊はとても高い位置にありました。
音響的には良くない、しかし照明のためには仕方がないという理由で、
マイクの位置をずらすならば、スポット等を使わず、
照明に影響がない1部だけでも、
音響的に良い位置にマイクを持っていけばいいのに…と疑問に思いました。

若山さんに投げかけてみると、

・それも有りだけどあの位置ですでにEQ等の調整を済ませている
・よっぽど精度の良い3点吊でないと動かした時に、
 左右上下だけでなくマイクの角度まで予期できない方向に曲がってしまう。

と、いくつか問題があるそうです。

音響室でそのメインマイクで集音した音は聞きましたが、
違う位置での音と比較できなかったのが残念でした。
いつか様々な位置での音を聴くチャンスがあればいいなと思いました。

ステージ上でいくつものマイクを使用すると
ケーブルの配線がごちゃごちゃします。
そのためにマルチボックスという機材を使用していました。
片側は長方形の箱でそれぞれの回線オスメスどちらでもさせるようになっています。
今回は8chのマルチボックス。
その箱にステージ上の各マイクケーブルがキャノンでつながれます。

箱から舞台袖へと伸びるケーブルは8ch分なので、
ペットボトルのキャップ程の太さ、
壁にさすコネクタは3Pキャノンの3倍はあろうかという直径で、
それだけピンの数も多いです。
ピン自体の太さは3Pよりも細いらしく接続の際、慎重にやらないと
すぐ折れてしまうそうです。
同じ8chでも先バラを使うとステージ上での見栄えが悪い、かつ結線しにくいです。

またマルチボックスからの配線も、
ペアケーブルという2対の先バラを利用していました。
これは演奏者に出来るだけ邪魔にならないように、
という配慮が含まれているのでしょうか。

学生の吹奏楽の演奏会では約2時間の内に、
いろいろな内容をお客さんに見せるために
ステージの配置も少なからず変化します。

また予定していた配置図通りにゲネプロを行った結果、
サウンド作りの問題で「30センチ上手側に移動!」
なんていうことも多々あります。

舞台監督が「ユーフォ移動して!」という指示を出した際、
私は客席で音を聞いていたのですが、
「自分は関係ない」とスルーしてしまったのです。
当たり前に考えると
配置が変わる→マイク位置も変わる

のは分かることです。

たとえマイク位置が変わらなくても、
移動に際して邪魔になる可能性もあります。
気を抜いてボケッと音楽鑑賞していた自分が悔しいです。
ユーフォが数十センチ動いた結果ケーブル長が少し足りなくなり、
間に延長ケーブルを挟みました。
家庭用コンセントで延長だったらつないで「はいOK!」と終わってしまいますが、
音響では回線上に少しでも変化があれば何度でも回線チェックを行うのです。

一旦舞台袖にはけ、再びステージ上で結線、そして回線チェック。
この作業は何度もありました。
それだけ「音を出す」ということに本気になっている証拠です。

現場では事前の図面通りには行きません。
変更が何度あってもすぐに対応できる柔軟性が必要だと思いました。
柔軟性といってもそれは経験なので、
とりあえず気をつけなければいけないのは
「絶えず周囲にアンテナを張る」ことでしょうか。


また今回はホルン6本に対してマイク2本、となるとどうしても
2人のみの音が中心に集音されてしまいます。

マイクが自分のベルに向けてあるとどうしても不安になるし、
よりによって1年であるとなお吹きづらくなります。

録音とはいえステージ上にマイクが乱立し目立つのは見栄え的にも、
奏者の精神的にもいいものではありません。

スタンドをセッティングしていたとき、
ホルンの1年生が不安そうにしていたので
気にしなくて大丈夫だよ的に声をかけたことが、
果たして彼女の精神面にどう影響したのかずっと気になっています。

下手に声をかけないほうがよかったのでしょうか…。

舞台裏には私たち音響だけでなく、照明もいれば手伝いのOB・OG、
会館職員やら舞台監督などなど様々な役割のスタッフがいます。

しかし高校生から見ればみんな似たような服装をしていて、
特に音響=照明=会館職員に思われていたようです。

そのためか何度も高校生から「椅子どこですか?」など、
音響スタッフには分からないことを聞かれました。
そこで分からないからといって自分まで戸惑っていればダメなのですね。

分からないなら分からないなりにちゃんとその旨を伝える、
分かる人に聞く等の処置を取らないと悪循環…。

3部ミュージカルのリハ時に舞台裏で待機していると、
1年生に「花売りはどこからでるんですか!?」
と焦った様子で尋ねられました。

客席への入り口ならともかく、
脚本を見たこともない私が分かるはずがありません。
結局そのシーンが終わるまで彼女は舞台裏で待機することになりました。

「音響」としては何もしてやれませんでしたが、
歳が近い&演奏会を出演側として経験していたことを活かして、
彼女目線に立って励ましてあげられたことはとても嬉しかったです。

「音響だけやってればいい」といったようではいけないと思います。


舞台袖から引き伸ばす回線の他に、
ステージ床に設置してある回線も使用しました。
ステージ床の回線は普段は邪魔にならないように蓋に覆われており、
つなぐ時だけ蓋を開け、
ケーブルだけ小窓のようなところから出しておく仕組みになっていました。

マイクをセットし使用する時は何の問題もなく完了。
しかし片付ける際、回線を外し蓋を閉め、その後にケーブル用の小窓を
閉めることを忘れてしまったのです。

その小窓はせいぜい幅3センチ程度の小さなものです。

それでも万が一、本番中に出演者が穴につまづいて転んだら…と考えると、
自分の小さなミスが小さなミスで無かったんだなとつくづく思います。

研修中、富さんは2~3回「マイクは片耳と同じ」
という言葉をおっしゃっていました。
確かにステージ上の演奏を片耳を押さえて聴くと、
1本のマイクで単純に録った音に近い…と率直に思いました。

=2本のマイクで録れば人間に聴こえる音をそっくりそのまま録音できる!
というようにならないのはなぜなのでしょう…。

「舞台裏は静かにする」
これは誰もが知っている常識です。
自分も知らないわけではありません。
本番中に舞台配置図をチェックしようと資料をポケットから取り出したとき、
紙の刷れる音が出てしまいました。

その瞬間に若山さんに注意されました。
音がでるかもしれない…という先を読んだ予測が出来なかった自分が
またまた悔しいです。

アンコール時、1人がステージ中央で歌うというシーンがありました。
演奏時の彼女のポジションから立ち上がり、上手でマイクを受け取って
ケーブルを引っ張りながら中央まで歩いていくという流れです。

また疑問です。司会や校長の挨拶はワイヤレスマイクを使用しているのに、
なぜ見栄えが悪いにも関わらず、
上手から中央まで長いケーブルをわざわざ引っ張る必要があったのでしょうか。

ものすごく謎で若山さんにも富さんにも同じ質問を投げかけました。

・信頼性の問題
・有線に比べると無線は例え数十万するものでも音質がとても悪い、
 喋りなら良いが歌等の音楽には向かない。

とのことでした。
質問の答えを聞いたときは「あーそうなんだ」と思いましたが、
今考えるとなぜ無線はそんなに音質が落ちるのだろう?とまた新しい謎が…。


音響室に入ってモニタースピーカーから出る音を聴いていました。
明らかに違います。生音に携わってきた立場からすれば本当にショックでした。
音の速度と電気の速度を比べると 音<電気
なので音響室に先に聴こえてくるのはスピーカーからの音です。

その数十msec後に生音が聴こえてくるので電気音と生音が混じり余計混乱します。
数値的に見るとわずかな時間ですが実際に聞くと意外と大きな時間差がありました。

そのため本番中のミックスは、
生音を聴き比較しながら…ということが出来ないそうです。
リハの内に演奏のバランスや音を記憶しておき、本番に臨む流れです。

プロならばリハも本番も極端に演奏は変わらないはずなので、
記憶できるなら問題ないと思います。
しかし今回のように学生はどうでしょう。
リハと本番ではメンタル面での意気込みが全く違うため、その差は天地ほどあります。

もちろんバランスも違えば音質も違います。
コンサート会場で客席の後方に卓をセッティングしているのを見る時がありますが、
それはこの問題を解決するためなのでしょうか。

「養生」という言葉を何度か耳にしましたがこの言葉を知りませんでした。
恥ずかしながら業界用語なのか一般的な言葉なのかさえも…。

聴いているうちにケーブルの保護、安全、外見の向上の目的で、
ケーブルをマット等で覆い隠すことのようでした。
その他に「ばめる」も現場で使われていた言葉です。

リハ時に決めたマイクスタンドの位置を示すためにビニテに[WW L]などと記し張ることです。
よってビニテとマジックは必需品!

それから持っていたとしてもいざ使う!
というときにパッと出ないと意味がないのですね。
どのポケットに入れたっけ?などとキョロキョロしている暇はありません。
自己管理能力が問われます・・・!!

走り回って作業していると腰バックやポケットから知らぬ間に、
道具や資料を落としていることがありました。

小学校から「自分の物には名前をつけましょう」と言われ続けているのが、
まさかここで役に立つのとは…。
落としてしまうのは良いことではありませんが、
しょうがないと言えばしょうがないと思います。
しかし名前が書いてあると誰かが届けてくれる可能性もあるし、
自分のらしき物を拾った時に確認ができます。

書類がホチキスで留めてあっても、
1枚1枚に名前を書くべきだとつくづく思いました。
これで数回痛い目にあいました…。

2日間をすべて文章にすることは不可能ですが、大事なことや、
特に印象に残っていることを自分の考えを交えながら作成しました。

現場の雰囲気が参加しなかった方々に100%のうち少しでも多く伝わればいいなと思います。

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以下、富のコメントです。
@ケーブル巻き→体で覚える
@マイクチェックの仕方→なぜ、ここまで詳しくチェックするのか?
@ペアケーブル使う→楽だから、奇麗に設置できるから。

@3点吊りの位置→ヨーロッパのフィリップス方式や、オノスコルツェ方式等、
マイクの種類、マイクの幅、角度、距離等すべて、決まっている録音方式もあります。
しかし、これは数字では決められません。
全てのマイクロフォンのアレンジに関して、絶対これで100%というのは無いし、
エンジニアの考え方、ミュージシャンによっても違います。
しかし何より、3点吊りはその設置位置の特異性により、長距離を伝送しなければならないし、
ノイズの問題等も、とても危ういのです。
ですから、なるべくホールにいる間に、3点の音を長くいろんな角度から聞いて、
平均点を上げるのです。
しかしながら『勘と経験』が大きく作用します。
あとは、開場している、お客さんの頭の上で、そんな危ない事しません。
バトン等もそうですが、動いている間が、一番モノが落ちる可能性があるのです。

@全てのマイクは、もう一度つなぎ直した時に、
きちんと働くかなんて、わからないのです。
いろんな、作用が働き、一度のマイクの抜き差しで、
マイクが死んでしまうもよくあります。
ですから、抜き差ししたら、必ずマイクチェックは原則です。
マイク自身が本気で収音に向き合ってくれればいいのですがね、
以外とマイクはドライな性格です。

@ワイヤレスを使わない理由→自分の耳で確かめるのが良いと思います。
エンジニアを目指す者ならば、耳で聞いて判断するべし。
チーフがこうだから・・・、といっても、
その場はその通りにやる。

しかし、全ての事象に疑問をもち、先人たちのノウハウに敬意をはらい、
新しいモノづくりにチャレンジしなければ何も生まれません。
よって、ワイヤレスを使わない理由だけでなく、多くの音響の事に関して、
必ず、自分の耳を信じる事が大切だと思います。
『自分が聞いて、それがよければ、一番いいじゃん』
ただし、人がどうしてそうやってるのかを、そういった手法を取り入れてるのかを、
徹底的に、研究する事。

@=2本のマイクで録れば人間に聴こえる音をそっくりそのまま録音できる!
というようにならないのはなぜなのでしょう…。
人間の脳はとても精巧にできています、耳もまたしかり、
耳より高性能なマイクは沢山あると思いますが、
人間は高度な解析をしているのです。
これは、興味があれば調べてみて下さい、これだけを学問にしている先生が、
世の中には沢山います。

@レコーディングは、その場でいくら良い音をしていても、
良い音でした・・・、でも録音には残っていない・・・。
ではすまされません。
もちろん、生の方が良いに決まっている。

では、何故録音するのか?
何故記録するのか?

僕らの仕事は・・・
SRでも録音でも、その場そのものをただ記録や操作するのではない。
だから、僕はオペレーターという言葉が嫌いなのです。

SRならば、ライブが終わって、3時間後の帰り道、
3日後、3年後、心に残る音を、その場に提供する為に、行っているのです。
ジャズのスタンダードで、
『There Will Never Be Another You』
という曲があります。
もちろん、恋愛の歌ですが、日本語にすると『あなたなしでは・・・』です。
そんなエンジニアリングを私は目指してます。

録音は、録音機が回っていなければ、『あの時の演奏はこーーんなに素晴らしかった!!』
だけで終わってしまう。
使っている機器は、音波を電気信号に変えて記録する為の機器ですが、
こんな考え方もあります。

あの日、その北高の部員達ひとりひとりが、朝どんな顔をして、朝食を食べ、
この演奏会に向かったか?、そこまでどんな練習や、生活をしてたどりついたか?
そして、この録音を聞き返し、DVDを見直して、どう思うか?

もちろん、ステージではいつでもマジックがおこる可能性がある。
録音は、録音を録る前から、録った後も続いていて、人と人が関わるツールにすぎない。
だから、録音する時に、ミックスする時に、編集する時に、
その、ディスクの先の誰かを思い出して録音するのです。

会場の客席にコンソールや録音機をおいて録音しているエンジニアや、
ビデオ屋さんもいると思います。
ただし、同時に2つの音は聞き分けられません。
本来ならば、ステージから遠く離れた、音声中継車や、
ミックス室を作るべきです。

また、高度な事を言えば、どうしても、会場と録音する場所が離れていても、
収音したマイクのひとつひとつから、その様子を、汲み取らなければならないのです。
そういった耳で聞かないと、ホールそのものは、
もっといろいろな情報が飛び交って(良い情報&悪い情報)おり、録音とは別物です。
ここでも、聞き方を自分の意志で整理しないといけないのです。
たとえば、本番、演奏がどう変わったか?を判断するのは、
実際に収録しているマイクしか無いという事です。
他の視覚的な情報や、生音の情報も必要ですが、いちばん大事なのは、
そのマイクに入ってくる音なのです。

しかも以外と、冷静に客観視(客観聴?)するのは、
訓練が必要です、だいたい最初は手が震えます。

長くなりましたが、また応募してみてください。
ここまで、富のコメントでした。
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