2009年2月17日火曜日

Jazz Vocal Studio Recording Report 37RP

Jazz Vocal Studio Recording Report 37RP

レコーディングスタジオでの、ジャズボーカル録音を初めて見学させて頂きました。

はじめに、このレコーディングは、12月27日にプロデューサーのTさんとエンジニアの富さんでの制作の打ち合わせがあり、その場所にも参加させていただき、ぜひ見学をしたいと思っていたものであったため、そのような機会を与えて下さった事に感謝致します。打ち合わせもかねてレポートします。

スタジオは新大久保のFスタジオ。
12月27日の打ち合わせでは、まずスタジオ内を見学した。
SSL4000Eのコンソールがあり、メインフロアーと3つのブースに分かれていた。富さんが実際にブースの中に入り、中のカーテンをあけて一つのブースから他のブース内がどのように見えるのかをチェックしていた。このスタジオのブースのつくりはメインフロアーを取り囲むみたいにつくられているため、演奏した状態でもアイコンタクトがとれるような状態になっていた。

バブルの時代?、マルチ録音の全盛の時代に作られたスタジオの構造としては、代表的なつくりだということだった。(富談)
ピアノは、ニューヨークスタインウェイが置かれていた。

次に場所を変えて、実際のレコーディングの細かな打ち合わせを行い、アカペラとピアノトリオで1日10曲から12曲ほど録るという事だった(Dr.はなしで、Gt、Pf、Wb)。ボサノバ風のものもある。ボーカルの方はスタジオでレコーディングするということが初めてな方であるという事で、仮歌は録らず、一発録りになるのではないかということであった。

 2月6日(金)録音当日。
レコーディングとしては2日目、富さんの助手ということで見学させて頂いた。すでにスタジオのアシスタントエンジニアがすべての準備を終えていた。そして、ミュージシャンが来る前にブースの中のマイクを見せて頂いた。
VOのマイクには、U-67があり、これはU-87や通常のマイクロフォンとは違ってCANNONのケーブルでの接続ではなく、専用の接続ケーブルと電源が必要。真空管内蔵のチューブマイクだ。U-87よりもまろやかな音質と言われているらしいが、U-87と聞き比べてみたくなってしまった。EGはC-414と4006が使用されていた。Pfには4006がHiとLowで使用されていた。各ブース、トークバック用にSM57があった。コントロールルームのSSLの方には、もともとテレコ(SONY-PCM3348)の音量のメーターであったものがつながっており、SSLやPTのメーターだけでは振れが見にくいため補助的に使用しているとのことであった。録音には、SMALL FADER(上段)を使用し、protoolsに送り、protoolsを介したものをVCAのLARGE FADER(下段)に立ち上げてモニターしていた。
 しばらくして、musicianとvocalの松代さんが到着し、リハーサルと録音が始まった。松代さんはすごい方だろうとは思っていたが、私の予想を遥かに超えた声量と迫力のある声をしていた。外見からは全く想像がつかないものであり、リハーサルから終始驚かされることとなった。それだけでなく英語のイントネーションや発声の細かい部分にも気を使っていて、これは日本人のJAZZ録音と思ってはいけないんだなと思った。この日は13曲録る予定であり、リハーサルを1回してすぐに本番というのを繰り返した。最後に録った曲で前日のものと比較してご本人やプロデューサーの方が悩んだ場面があった。私は、前日参加していなかったため、良く分からなかったが、その時即座に富さんが「エンジニアのものですが、今日の方が勢いが少し無いと思います」と発言していた。エンジニアの立場からの意見を言うこと、言える環境を自分でつくること。信頼する、されるということはこういうところに現れるのかもしれないと思った。

 アシスタントエンジニアの方の作業にも驚くことがたくさんあった。録音をしながら、不要な部分をカットし、パンチイン、アウトしたものも即座にモニターする。歌っていない前奏・後奏・ソロの部分をカットし、フェードで掃除をしておく。色々な作業を同時にこなしていた。スタジオのレンタル時間に限りがあるので、アシスタントがその時間を延ばすようなことをしてはいけないのだなと思い、速く正確に操作をすることがいかに大切か、即座に言われたことに対応することの必要性を感じた。また、ギターのみ、ピアノののみの録り直しの時などは、どこから録り直したいかという時、当たり前のことではあるが、musicianの方からは小節数とコードネームで言われることがほとんどである。特にJAZZの録音ではコード名は重要だ。私は楽譜は読めるがコード名はすぐにピンとこないのでその辺についても勉強の必要性を感じた。

 録音自体は、18時30頃には終了しmusicianは撤収していったがエンジニアの方にはまだ大切な作業が残っていた。録り終わったものをprotoolsからSSLの方に戻してラフミックスすることだ。さらにそれをprotoolsに取り込む。この作業、すべてやるとかなり時間がかかるが、その場で出来る限り行えることが望ましい。しかし、時間がない。録音は本当に時間があるようで無いものだと思った。

 まだまだ書ききれないことはたくさんあるが、今後このような貴重な録音に立ち会えることは一体何回あるのだろうと思ってしまうくらいに、様々なことを非常に恵まれた環境で勉強させて頂いた。
今回見たこと感じたことを、今一つひとつやっていることに生かしていきたいと思う。
貴重な研修、有り難うございました。


 



 

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